兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2014年8月25日(1759号) ピックアップニュース

主張 政府は反核・反原発で世界をリードせよ

 九州電力・川内原発について、原子力規制委員会は、新規制基準に「適合」しているとする審査書案を公表している。この川内原発を皮切りに、安倍内閣は他の原発の再稼働をも進め、さらに新増設、輸出も行おうとしている。
 しかし、核技術はコントロール・後始末という点において、今なお人智の及ばぬものであることは誰も否定できない事実である。処理もできない、放置もできない、どうしようもない核廃棄物と放射能汚染が生み出される。
 その核技術により発電する原子力発電所は稼働の有無にかかわらず、その存在そのものが危険なものである。自然、テロ、戦争などの脅威を考えた場合、安全などあり得ず、減災の効果もかぎられており、核兵器開発にもつながる原発関連技術は、リスクマネジメントの世界で語れるような代物では絶対にない。
 使用済み核燃料の再利用を始めとする核燃料サイクル計画は、高速増殖炉「もんじゅ」の事故が示すように現行原発とは比べものにならないような危険を背負いこむものであり、いまだ技術化のめどは立たず、すでに夢物語となっていると言っていい。核燃料サイクル計画が頓挫した以上、ウランも石油などと同じ輸入有限枯渇資源である。
 政府はいまだに「原発は低コスト」と言い続けているが、災害時のコスト負担を除いても、核関連開発費、地元対策費、廃炉費、核廃棄物処理・管理費など、多くの算定されていない経費があり、原発はとても割高なエネルギーである。
 長期的に見て、原発はとても日本のエネルギー政策の基盤になれるようなものではなく、福井地裁の大飯原発運転差し止め判決にも指摘されているように、目先の経済政策や本末転倒の地球温暖化対策などと引き換えにできるものでは到底ない。
 日本が核関連においてめざさなければならないのは、被曝医療、廃炉技術、核廃棄物処理、放射能汚染改善に関する技術開発である。核拡散につながる原発輸出では決してない。
 反核兵器、反原発こそが人類の歩むべき道であり、日本が世界に向けて提起すべきものである。
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