2014年8月25日(1759号) ピックアップニュース
反核医師の会が第33回総会
"当事者の言葉"から本質見える 詩人アーサー・ビナード氏が記念講演
ユーモアを交え平和の大切さを訴えるビナード氏(上)の講演に、参加者は聞き入った
ビナード氏は講演でまず焼夷弾についての問題提起をした。東京大空襲の際に東京の町を焼き尽くした焼夷弾は、「ナパーム弾」と名前を変えて、朝鮮戦争では東京大空襲の2倍、ベトナム戦争では朝鮮戦争のさらに5倍の量が使われた。「ナパーム弾」という語を用いたのは、焼夷弾という名を使うことで日本国内において戦争反対の運動が高まることを、米国が恐れたためだと指摘した。
また、ビナード氏は広島に行って衝撃を受けたこととして、聞き取りをした被爆者はみな原爆のことを「ピカ」や「ピカドン」といっているが、これは爆心地からの距離の違いによるものであることを知り、爆心地からの距離が近かった人は爆発の音を聞く前に気を失っていたからであり、このことからも爆風がどれほどの速さで襲ってきたかが見て取れるとした。
さらに、米国では子どもたちに「原爆は太平洋戦争を早く終わらせるために使われた」と教えられるが、これは嘘であると指摘。広島に投下されたウラン型原爆はすでにでき上がっていたにもかかわらず、長崎でのプルトニウム型原爆が完成するまで投下が引き延ばされていたという事実があるとした。
講演を通じてビナード氏は、物事は当事者の言葉で考えることで本質が見えてくるということを訴えた。集団的自衛権の本質も「積極的平和主義」という言葉で包まれているので、国民がその実態を見抜くようにしなければならないとした。
総会議事では、代表に郷地秀夫協会副理事長が、運営委員長に近重民雄協会理事がそれぞれ再任された。また、来年4月に開催されるNPT(核不拡散条約)再検討会議に、代表を派遣することを確認した。