兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2014年9月15日(1761号) ピックアップニュース

感想文 第23回日常診療経験交流会プレ企画「東日本大震災から3年」
被災地の生活・医療 なお続く困難の実情知る

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被災地の現状について語る(左から)松本純先生、古屋聡先生、川島実先生

 協会は8月2日に、第23回日常診療経験交流会(10月26日・神戸市産業振興センター)のプレ企画「東日本大震災から3年を経て−原発事故、生活再建、被災地医療のいま」を協会会議室で開催。福島市、気仙沼市などの被災地で地域医療に取り組む医師らを招き、大震災・原発事故から3年が経過した被災地・被災者の現状や、今後の課題などを聞いた。県外も含め、医師・歯科医師や薬剤師、看護師など40人が参加。司会は清水映二・広川恵一両理事が務めた。藤家恵子先生の感想文を紹介する。

 第1部は、福島市飯野町・生協いいの診療所所長・松本純先生の講演「避難指示の水ぎわでみる原発事故被災地での暮らし」で、そのねらいは、
1)福島の経験を振り返る。土壌汚染の形成
2)引き裂かれた福島を知る。帰る・帰れない・決められない
3)放射能被害のない未来を
の3項目とあったが、あらためて原発被災に苦しむ福島の実情を知り、その深刻さは計り知れないものがあると感じた。
 特に「引き裂かれた福島」のお話のなかでは、放射線量の高い所から出て線量を心配しないで暮らすことを選んだ、つまり選ぶことができた避難者。避難せずに、いわば避難できずに福島に住み続けている住民。一時避難していたが帰還してきた住民。これらの住民間に見え隠れする確執や、子どもたちの健康を案じる母親の心のケアの必要性、女の子が心に抱えている将来への不安などを聞き、随分胸が痛くなった。
 福島の子どもたちが、のびのびと屋外で遊べる環境が一日も早く実現するよう願うばかりである。「脱原発」が可能な未来をつくること、これは大きな課題であると痛感した。
 第2部は、震災直後から宮城県気仙沼での医療支援に尽力されてきた先生方の講演。「本吉で思ったこと」と題して話された川島実先生は、震災で病院機能を失った気仙沼市立本吉病院に院長として赴任された方で、お話は人間味に溢れ、謙虚なお人柄がにじみ出ていた。本吉の住民の方々が、どれほどか心救われたろうと確信し、お人柄に敬服してしまった。
 また最後は、山梨市立牧丘病院院長・古屋聡先生の「震災から3年、気仙沼の健康をめぐる状況」。今も継続して行っている医療支援、口腔ケアから摂食・嚥下コミュニケーション・サポートの立ち上げ、口から食べる取り組みを現地の多職種医療連携に引き継ぎサポートしている経緯など、とても貴重な講演で、私自身がその一部に関わらせていただいたこともあるので、心から感謝を申し上げずにはいられない。
【加古川市・歯科 藤家 恵子】
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