2014年9月25日(1762号) ピックアップニュース
参加記 第3回避難者健康診断 健康への大きな不安に寄り添いたい
原発事故による県内避難者を診察する森達哉先生(上)、脇野耕一理事(下)
今回、第3回兵庫民医連避難者健診に参加しましたので、ご報告いたします。受診者は37人、うち小児19人でした。
私は小児の診察を担当しましたが、やはり保護者の皆さんの健康に対する不安は大きく、「甲状腺が心配」「鼻血は放射線の影響だったのか」「放射線が1番強かった日に、何も知らずに公園で遊ばせてしまったことを後悔している」などの声が聞かれました。
幸い、大きく体調を崩している児は見かけませんでしたが、倦怠感を訴える児もおり、また全体的にTSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT4(遊離サイロキシン)など、甲状腺関連の検査値が各年齢の基準値を超えており、専門病院受診を勧めたケースが、過去の2回よりも多かった印象です。
甲状腺エコーでは数例に径5㎜以内の嚢胞が見られましたが、正常な頻度なのかは不明です。
放射線の身体への影響については、現状では「根拠に乏しく、まだはっきりとは分かっていない」と言うしかない段階なのですが、実際に不安に思っていらっしゃる避難者さんたちを目の当たりにすると、そのことがとても歯がゆく、早くデータを集めて結果を出したいという焦燥感に駆られます。
この健診活動が、避難者の皆さんの身体と心の支えに、そして人類全体の学びの一助になればと心から願います。
【尼崎市 森 達哉】