2015年1月05日(1771号) ピックアップニュース
女医の会インタビュー 16
子育てに悩むお母さんに寄り添いたい 明石市 小野 晶子
目標は生涯手術を続けること 神戸大学呼吸器外科 清水奈保子
子育てに悩むお母さんに寄り添いたい
明石市 小野 晶子
自宅のような雰囲気の和室の病室で
開業して2年になりますが、昨年クリニックの2階に和室の分娩室を2室つくり、念願だった産科を10月からスタートしました。
開業前から準備を進めてきましたが、当初県から地域の基準病床を超えているためベッドを割り当てられないと言われてしまいました。県当局や保健所に何度も電話をかけて問い合わせをし、医師会にも助けていただき、ようやく病床を得ることができました。
お産はもともと自然なものと思いますので、できるだけ医療の力を使わずに自然な形のお産をお手伝いしたいです。
出産はもちろん、その後もサポートできるクリニックになりたいと思っています。出産の時は看護師さん、助産師さんに頼ることができますが、本当の試練は退院して家に帰ってから。自分が子どもを産んだ時にも感じましたが、誰にも相談できず一人で悩んでしまうお母さんが結構多いんです。なので、「母親教室」を開いたり、往診、電話対応などができる体制をとって、悩んでいるお母さん方に寄り添っていきたいです。
それに子どもはお母さんだけでなく、地域で育てるものだと考えています。この前もクリニックに近所のおばあちゃんが来て、患者さんの赤ちゃんをあやしていました。こうやって誰でも気軽に来られ、家族も子どもも見守れるような、地域に根付いた医療機関でありたいですね。
私にも小6と小4の子どもがいます。仕事に没頭してしまう私の性格上、自宅とクリニックを併設して子どもたちとの時間をつくれるようにしています。健康に育ってくれていて本当に嬉しいですね。クリスマスパーティーなどの協会支部企画も家族で出かける良いきっかけになっています。
高校時代のクラブの恩師に「『時間がない』は言い訳、時間は自分で作るもんや」と言われました。
日々の診療や、クリニックの経営や子育て、子ども会の会長と、あわただしい毎日ですが、好きなことができて楽しいです。これからも自分で時間を作ってがんばっていきたいです。
目標は生涯手術を続けること
神戸大学呼吸器外科 清水奈保子
医局で眞庭謙昌教授と
香川大学を卒業し研修後、兵庫県出身の夫と結婚し、神戸大学の医局に入らせていただきました。兵庫県立がんセンターで後期研修をし、今は大阪の住友病院で勤務しており、肺がんを中心に気胸や膿胸など肺疾患の手術を行っています。新たに学ぶことばかりで毎日が充実しています。手術を重ね、専門医の資格をとり、一人前の外科医になるのが今の目標です。
呼吸器外科を選んだのは、何より手術に魅力を感じたからです。悪い部位を取り除くことで、患者さんの病気が治るという結果が目に見えて表れます。学生時代に打ち込んできたバスケットボールに似ているとも感じますが、先輩に指導していただきながら、練習し技術を高め、チームの連携がうまくいけば、病気を治せ、患者さんに喜んでもらえる。それがうれしいですね。
肺がん患者さんは再発してしまうと、再手術が難しく、抗がん剤も効きにくいので、非常につらいです。どんな最期を迎えるか、患者さんと向き合い、いつも考えさせられます。
外科は、以前は女性が選ぶこと自体できない雰囲気があったようですし、「体力勝負だから不利ではないか」とも言われますが、今は手術機器の発達もあって、男女差を感じることはあまりありません。
特に、神戸大学の呼吸器外科は、一昨年独立してできた新しい科で、眞庭謙昌教授をはじめ先輩方が「若手の先生方が多いので、女性の先生も一緒にがんばろう」とあたたかく迎えてくださり、とても励まされています。
もし今後妊娠・出産の機会があれば、出産後も手術を続けていきたいです。女性外科医は増えていますが、子育てしながら手術して、というのは現実的にはとても大変なようです。以前のように働けなくなり、他の先生方にものすごく迷惑をかけると思います。それでも周りの方の助けを借りながら、何とか手術を続けたい、それが目標です。
これまでの「女医の会インタビュー」を読ませていただきました。すばらしい先輩方の生き方から学び、私も次の先生が続けるよう、がんばりたいと思っています。