兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年1月25日(1772号) ピックアップニュース

1・17 メモリアル企画

 震災20年の節目に、各地で行われた企画の模様を紹介する。

神戸会場・メモリアルシンポジウム 「創造的復興」被災者おきざり

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協会・保団連の運動をふりかえり、
「創造的復興」の問題点を考えた

 協会と保団連が協会会議室で行った、メモリアルシンポジウム「巨大災害と人権保障」には、全国の協会から65人が参加した。
 ライターの古川美穂氏は、「創造的復興」について、神戸医療産業都市を例に挙げ、震災に乗じて規制緩和を進め、企業が利益を上げようとするものであると批判。そして、東日本大震災後も同様に、住民のゲノム情報を収集・分析する東北メディカルメガバンク構想、仙台空港の民営化、カジノ構想などが復興事業として進められており、一方で窓口負担免除措置が打ち切られるなど被災者が置き去りにされていると述べた。
 住江憲勇保団連会長は、阪神・淡路大震災後、公的保障を求める兵庫県の運動を支援する中で、「災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会(全国災対連)」が結成され、被災者生活再建支援法改善運動、被災地の運動・交流に取り組んでいると語った。
 武村義人兵庫協会副理事長は、開業医・協会の運動をふりかえり、公的保障を求め、被災者の患者負担免除措置や民間医療機関への公的支援、診療報酬の概算請求などを実現してきたと紹介した。
 ひょうご福祉ネットワーク・ケースワーカーの正津房子氏は、仮設住宅・復興住宅の巡回相談を20年間継続しており、住民の高齢化が進む中、生活困難や健康不安といった深刻な相談が寄せられていると紹介した。
西宮会場「20年の集い」
東日本・原発事故と結びつけ人権と社会保障を考える

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原発のない世界に向け何が必要か対談する小出先生(右)と鎌仲監督

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会場いっぱいとなる会員・市民が参加し
経験を交流

 協会と協会西宮・芦屋支部が、西宮市役所東館で開催した「20年の集い 阪神・淡路大震災−東日本大震災−原発事故」には、医師・市民ら340人が参加した。
 京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生と映画監督の鎌仲ひとみ氏が、原発事故に対する電力会社・政府やマスメディアの責任問題、市民一人ひとりが原発をなくすために行動することの大切さなどついて対談した。
 西宮市・広川内科クリニック院長の広川恵一先生が、阪神・淡路大震災における開業医師と保険医協会の取り組み、ボランティア・看護師の役割などについて、福島県南相馬市・大町病院院長の猪又義光先生と看護部長の藤原珠世氏が、東日本大震災において医療拠点病院として果たした役割と、復興に向け多職種で協力した震災後の取り組みについて、それぞれ報告した。
 「被災地の医療・社会保障を考えるパネルディスカッション」では、青森市・大竹整形外科院長の大竹進先生、元岩手県立高田病院院長の石木幹人先生、岩手県立高田病院臨床心理士の行本清香氏、元宮城県気仙沼市立本吉病院院長の川島実先生、松島医療生協松島海岸診療所歯科の井上博之先生、福島医療生協いいの診療所所長の松本純先生が、東日本大震災がもたらした被害・人格権侵害や被災者の健康状態、復興に向けた取り組みなどについてそれぞれの立場から発言。
 東京都中野区・中村診療所院長の中村洋一先生は、阪神・淡路大震災ボランティアの経験から作成した「災害時医療対策マニュアル」や「中野区医師会災害対策本部」の取り組みについて報告した。
 兵庫県災害医療センター顧問の鵜飼卓先生は、阪神・淡路大震災以後の災害医療体制の改善点と今後の課題について、日本福祉大学名誉教授の金持伸子先生は、公営住宅における高齢化問題などについて報告した。
 心肺蘇生実習コーナーでは、西宮市・ユニコの森・村上こどもクリニックの村上博先生、西宮市・あしだこども診療所の芦田乃介先生とスタッフが、市民に懇切丁寧な実習を行った。
 講演の合間には二胡奏者の劉揚氏が「南相馬市民の歌」などを演奏した。
復興県民会議「メモリアル集会」
20年の運動が政治動かす

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被災者支援を求めつづけてきた20年間を
ふりかえった

 協会も参加する阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議(合志至誠協会名誉理事長が代表委員)は、神戸市勤労会館で、「20年メモリアル集会」を開催し、約440人が参加。被災者支援を求め続けてきた、同団体の結成から20年の歩みが振り返られ、借り上げ復興住宅からの追い出し、新長田の再開発など、いまだ震災の影響が続いていることが紹介された。住江憲勇保団連会長が、全国災対連代表世話人としてあいさつした。
 宮入興一愛知大学名誉教授が、1991年の雲仙火山災害以降の、被災者の生活再建と生業再建の公的支援を求める被災者・国民の運動の成果と課題、教訓について、記念講演した。
 福島県楢葉町の住職で原発問題福島県連絡会代表の早川篤雄氏が、故郷に帰れないという原発事故後の住民の実態を示した。
20年後の長田を歩く
 大規模火災により焼け野原となった長田区で行われた「1・17長田メモリアルウォーク 明日へ語り継ぐ」には、全国から120人が参加し、再開発事業で巨大な商業ビルが立ち並ぶものの、テナントには空きが目立ち、かつてのにぎわいとはほど遠い街の姿を見学した。
追悼 多くの犠牲者へ祈り

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 神戸市を一望できる諏訪山ビーナスブリッジで行われた「早朝追悼のつどい」(被災者ネットワーク主催)には約180人が集まり、大地震が発生した午前5時46分、犠牲者へ黙とうを捧げ、鎮魂の鐘をついた。
神戸支部プレ企画
南海トラフ地震で何が起きるのか

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地質学者の田結庄氏が講演

 協会神戸支部は昨年12月13日、震災20年メモリアルのプレ企画として、田結庄良昭神戸大学名誉教授を招いて市民公開講演会「南海トラフ地震で何が起きるのか−地震・津波のメカニズムから防災を考える−」を協会会議室で開催し、会員や市民ら51人が参加した。
 田結庄氏は、東日本大震災を受けて南海トラフ地震の想定震源域が広げられ、予想される地震の規模もM9・1と大きくなったことを紹介。そして県が作成した津波による被害想定は、地震の揺れによる液状化で防潮堤や水門が壊れ、被害が拡大しうるという、阪神・淡路大震災での教訓が生かされていないと指摘。また、阪神・淡路で、液状化しにくいと言われていた六甲山の山土で造成されたポートアイランドでも液状化が起きたが、南海トラフ地震では揺れの時間が長くなるために、液状化の危険性はさらに増すと警鐘を鳴らした。
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