2015年4月05日(1779号) ピックアップニュース
燭心
消費税が関税障壁になることをご存じだろうか。米国は、消費税は関税であり、輸出企業への輸出戻し税は輸出補助金と見ていることから、消費税を導入しておらず、導入した国には報復を行うという▼日本が消費税を導入した1989年には日米構造協議、94年からは年次改革要望書、消費税が増税された97年には金融ビッグバンと、アメリカの規制緩和要求があり、このために私たちの休業保障制度も普及停止に追い込まれた。消費税10%案が出された2010年からは日米経済調和対話、12年に増税法が可決成立したのを受けてTPP協議が本格化している▼以上は協会で講演いただいた、岩本沙弓大阪経済大学客員教授の著書『アメリカは日本の消費税を許さない』の内容だ。同氏は長年トレーディング業務に携わり、日本経済新聞社発行ニューズレターに為替見通しを執筆してきた。歴史の審判を仰ぐため、30年経てば原則公開される米国公文書を駆使し、国民を欺く日米経済戦争の真相に迫っている。円ドルレートの適正水準についても言及している▼後書きでは「一般庶民の生活の安定を図ること」、すなわち「人が生きていくためには社会全体が気持ちにも懐にも余裕がなければならない」ことは「一部の強者の利害を超えて尊重されるべき」と、格差や貧困に反対するピケティやセンにも通じる考えを示され、ハンディキャップを背負った母や長女との関係が原点にあると書かれており納得させられた(水)