兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2015年6月15日(1785号) ピックアップニュース

政策研究会 国民皆保険を崩壊させるTPP
前日医会長 原中勝征先生が講演

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原中勝征先生がTPPの危険性などを語った
(5月30日・協会会議室)

 協会は5月30日、前日本医師会会長で「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」代表の原中勝征先生を講師に招き、政策研究会「TPPの危険性と差止・違憲訴訟の意義」を開催。原中先生はTPPの危険性とともに、国民が声をあげることが大切と強調した。

 原中先生は、TPPの危険性について、農産物の輸入自由化により、アメリカとの競争に押され、国内の農業が大きなダメージを受けるだけでなく、社会保障の分野でも、国民皆保険制度が民間に合わせる形で縮小され、アメリカの保険商品が国内に流入してくる危険性があると説明。国民皆保険制度がないアメリカでは、民間保険に加入していても医療費が払えずに自己破産する人が後を絶たないことを紹介し、日本の国民皆保険制度は国民全体に恩恵を与えるものであり、守らなければならないと語った。また、新薬の特許期間がアメリカに合わせる形で延長され、後発医薬品の製造・販売に時間がかかるようになり、医療費の増大にもつながるとした。
 また、日本医師会会長を務めている間に発生した東日本大震災に際して、ガソリンの配給を被災医療機関へ優先して行うことを当時の民主党政権に働きかけ、実現することができたと、当時の様子を語った。この時、規則を超えた柔軟な措置が行われたのは、民主党政権が官僚主導から政治主導への切り替えを図っていたことが背景にあると解説。しかし現在はまた官僚主導の行政へと後退していると指摘した。
 政界との関係についても話は及び、政治連盟は自民党へ政治献金を行ってきたが、自身が会長を務めている間は中止したとして、医療界の要望を政治に実現してもらうためには、与野党を問わず働きかけを行う姿勢が大切であるとの考えを述べた。
 先生は最後に、若い人たちを中心にデモや集会に参加する人が減っていることに触れ「自分の子どもや孫によい国を残すことを第一に考え、国家が国民の意思を無視し、暴走したときには、周囲に反対の意志をアピールすることが大切だ」と訴えた。
 原中先生は、茨城県医師会会長や日本医師会理事を経て、2010年から民主党政権下で日本医師会の第18代会長を務めた。現在、TPP参加により医療、農業、雇用の市場化が進み、国民の生存権や安全が脅かされるとして、TPPの交渉差止を求める「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」の代表を務めている。医師・歯科医師ら32人が参加した。
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