兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

兵庫保険医新聞

2015年7月25日(1789号) ピックアップニュース

介護保険 一部利用者2割負担に 8月1日から

1789_05.jpg

利用者に負担割合が記された「負担割合証」が新たに交付される

 昨年、安倍政権が強行成立させた医療・介護総合法により、8月から一部の介護保険利用者について、窓口負担が従来の1割から2割へ増えるほか、自己負担限度額が引き上げられる。また、低所得の施設入所者への食費・居住費補助についても、新たに資産要件が加えられる。協会・保団連は、医療・介護難民が多数生じるとして、反対署名を呼びかけるなど同法の廃案に取り組んできたが、8月から介護利用者にはさらに負担増が重くのしかかることになる。
 2割への利用者負担増は、居宅介護支援を除くすべてのサービスが対象となる。居宅療養管理指導、訪問看護、訪問・通所リハビリなどの介護保険サービスを提供している医療機関は、8月1日以降の利用者負担割合について注意されたい。
 対象者は、65歳以上で本人の前年度合計所得金額が160万円以上の被保険者(第1号被保険者)。要介護・要支援者には自治体から負担割合が記載された「介護保険負担割合証」(上)が交付されている。40歳以上64歳以下の被保険者(第2号被保険者)の負担は現行の1割のまま変わらない。保険料滞納者への給付制限は現行同様3割となる。
 高額介護サービス費についても、同一世帯内の第1号被保険者に課税所得が145万円以上の者がいる場合は、自己負担限度額が月3万7200円から4万4400円に引き上げられる。ただし同一世帯内の第1号被保険者の収入が単身で383万円未満、2人以上の場合で520万円未満の場合は、市町にその旨を申請すれば、限度額を翌月初日から現行の3万7200円に戻すことができる。
食費・居住費に資産要件も
 低所得の介護保険施設入所者のうち、住民税非課税世帯の利用者については食費・居住費が補足給付されているが、支給要件に配偶者の所得と預貯金等の資産が加えられる。配偶者と世帯分離していても、住民税課税者である場合は対象となる。
 預貯金等とは、預貯金、有価証券、投資信託、貴金属、タンス預金(現金)などが示されており、単身で1000万円超、夫婦で2000万円超の場合、給付対象外となる。
 他にも同法により今年4月からは、要支援者の訪問・通所介護がボランティア頼みの安上がりな「新総合事業」へと切り離されたほか、特養入所者を要介護3以上へと限定するなど、介護保険からの利用者切り捨てが行われている。
バックナンバー 兵庫保険医新聞PDF 購読ご希望の方