2015年8月05日(1790号) ピックアップニュース
燭心
与党(自民・公明)は、衆議院で集団的自衛権行使を可能とするなどの戦争法案を、色々屁理屈を使い十分に審議もせず、強行採決した。この法案の本質は自衛隊が米国と共同し日本国外で軍事行動することを可能とすることだ▼日本は憲法9条により戦争を放棄しているが、この法案は日本が再び戦争することに道を開く。協会はこの法案に反対している。戦争が起これば軍事力の行使により多数の死傷者すなわち患者が発生する。公衆衛生に寄与する医師は、いわれなき患者の発生を防がなければならない。医師は医療だけしていればよいのではない。戦争反対の政治行動は医師の義務である▼日本が戦争に突進した1930年から45年にかけて戦争反対の態度を示したのは日本共産党など極めて少数だった。大東亜共栄圏とか欧米からの自衛の戦いだとか侵略戦争の本質を隠蔽する言葉をでっちあげ、多数の日本国民がその言葉に酔い、大正デモクラシーから太平洋戦争まで突入した。国民を欺き戦争に誘導するのは意外に簡単だと当時の軍部などは思ったかもしれない。15年戦争はいつの間にか突入し、あっという間に破局に至った。憲法9条はこの痛切な歴史が反映されている▼現在、世界中でイスラム過激派によるテロの嵐が吹き荒れている。戦争放棄している日本人はテロの対象ではないようだが、彼らのテロの対象には米国が含まれるので、日本が米国とともに戦争すれば日本人もテロの対象になりうる(海)