2015年8月05日(1790号) ピックアップニュース
女医の会インタビュー 17 震災で学んだ口腔ケアの大切さ
加古川市・歯科 藤家 恵子
売り上げが気仙沼への寄付になるシャツを院内で販売。患者さんの協力も多い
それを強く感じたのは、阪神・淡路大震災の時でした。私は神戸市立中央市民病院の歯科口腔外科チームの一員として、仮設歯科診療所や避難所で主に歯科疾患や義歯関連で困っている被災者を対象に、歯科医療支援に取り組みましたが、その後の震災関連死の報告で、肺炎が最大の原因であったことに、非常にショックを受けました。災害時の口腔ケアの大切さを思い知らされ、また被災者の口腔内の状態が、普段からケアをしているかどうかで大きな違いがあり、平時からの口腔ケアが重要であると痛感しました。
そういった経験から、東日本大震災発生時には「自分の経験を生かさなければ」と使命感を感じました。神戸常盤大学短期大学部教授の足立了平先生(協会理事)や兵庫医科大学教授の岸本裕充先生のお力添えで、宮城県気仙沼市に行かせていただきました。
「気仙沼巡回療養支援隊」という多職種連携のチームに参加し、寝たきりの高齢者の口腔ケアに取り組みました。なかなか口腔ケアまで手が回らない病院に積極的に足を運び、摂食・嚥下サポートとして口腔ケアをして回ったことなども。
福島の現状を考えると、仮設住宅での生活や、県外に避難したまま戻れない方々がいる中、原発を再稼働すべきなのか疑問です。政府は自然エネルギーの活用などにもっと力を注ぐべきではないでしょうか。
私には大学生と高校生の娘がおり、女性医師・歯科医師が産休や育休から復帰するのは大変だと身をもって経験しました。家事や子どもの受験などに加え、歯科医師としての勉強もしなければいけませんからね。若い先生や学生のためのサポートが必要です。
女性は150%の力でがんばっても男性の7割程度の評価しかもらえないと感じます。負けたくない一心で研究会への参加など、勉強をしつづけています。
協会には、歯科助手講座などスタッフ向けの実技付きの研修や、医科・歯科一緒に参加できる研究会など、臨床の役に立つ企画を今後も期待しています。