2015年9月15日(1793号) ピックアップニュース
九条の会・兵庫県医師の会
9条を持つ日本として非武装での交渉が最適
伊勢崎賢治氏を招き市民学習会
伊勢崎氏(下)が安全保障関連法案の問題点を語り、会場いっぱいの162人が聞き入った
国連職員としてシエラレオネなどで武装解除を指揮した経験をもつ伊勢崎氏は、安倍政権が憲法違反の安全保障関連法案の審議を強引に進めていることを、大学生らでつくるSEALDs(シールズ)の運動の盛り上がりなどをあげて批判。集団的自衛権が容認されれば憲法9条の意味がなくなるとし、アフガニスタン特措法、イラク特措法、ソマリア沖派遣、ジブチへの自衛隊基地設置と地位協定締結など、すでに行われている違憲の海外派兵の実態を解説した。
また、自衛隊の海外派遣を正当化する「後方支援」「国準」「一体化」といった用語は、国際社会では通用しない日本政府独自の詭弁であるとし、伊勢崎氏が出演した報道映像を用いて、国連が現在コンゴ民主共和国で行っている平和維持活動について紹介。国連の活動はこれまで「停戦監視」など中立を保ってきたが、90年代のルワンダ大虐殺に国連PKOが無力であったことを契機に、2011年のリビア内戦以降、「住民の保護」を任務に国連が当事者として戦闘に参加するようになり、南スーダンのPKOへの自衛隊派遣では、停戦合意が崩れても自衛隊は帰国せず「PKO五原則」が形骸化しているとした。
国連PKOの役割が変質する中で、憲法9条を持つ日本が果たすべき役割は、PKOに参加しての武力行使ではなく、非武装で紛争の最前線に立ち、武装勢力との武装解除の交渉にあたることが最適であり、「自衛隊の根本的な法的地位を国民的に問うことなしに自衛隊を海外に送ってはならない」とし、安保法案がたとえ可決されたとしても、これを発動させない違憲訴訟などの運動、野党の選挙協力が必要だとした。
宮武博明副理事長が司会を務め、西山裕康理事長が謝辞を述べた。