2015年11月15日(1798号) ピックアップニュース
燭心
資本主義が暴走している。かつてソ連が存在していたとき、日本は戦後、社会主義革命を阻止するため、失業対策や社会福祉政策等によって、大企業等の資本の純粋な利潤追求を抑制する政策をとっていた▼大企業の利潤は減っても、資本主義を守るための必要性があった。国民のために善意に基づいて行った政策ではなかったが、資本の暴力を抑制し、その結果は労働者の利益にもなった。高度成長時代、大企業は今のような巨額な内部留保金を保有していなかったが、手厚い社会保障・福祉のもとで失業率も低かった。社会主義は資本主義に対抗すると同時に、結果的に資本主義の内部から自己改革を促進させる機能を持っていた▼しかしソ連崩壊後、米国の一極支配になり「新自由主義」が主導権を得た。政府による税の再分配や社会保障を極力抑制し、企業や個人の自由競争を促進、世界のグローバリゼーションと結合して、巨大な格差社会の到来を招いた。このような暴走資本主義は一般の国民にとって不幸である▼経済学者の金子勝氏は、個人の自由と平等を保障しつつ成長を遂げる方法として、民主的なルールを共有していくことで、社会変革を起こし、暴走する資本主義を克服するという「共有論」を提起している。資本主義は市場が大きければ大きいほど利潤が得られる。無限に市場を拡大することは到底無理である。ブレーキのない暴走車は必ず大事故(経済的破綻)を起こすのは歴史の必然である(鼻)