2016年1月05日(1802号) ピックアップニュース
女医の会インタビュー 18
患者さんに身近な医療守りたい 佐用郡 宮本美智子
地域医療をともに支えるスタッフと
尼崎に住まいをし勤務医をしていましたが、父の体調が悪くなり医院を継承するかの決断を迫られました。子どもがまだ小さかったためとても悩みましたが、父の診療を頼りにしている患者さんをほっておけない、と佐用に帰る決心をしました。
それから20数年経ち、患者さんの家庭環境が変わってきたなと感じます。昔は高齢者を支える家族が家にいたのですが、今では日中は働きに出ていることが多いです。在宅人工呼吸や末期がんの場合、家族の負担はとても大きくなります。患者さんや家族を支える体制をきちんと整えることが必要です。
政府は在宅医療を推進していますが、それは医療費抑制の観点からと思われます。一番大切なのは、安心して老後を過ごせる環境ですよね。政府は「かぜくらいなら薬局で薬を買えば良い」などと言いますが、医療機関で診るから重症化せず健康が維持できるんです。財政優先ではない医療政策を望みます。
患者さんの自己負担がどんどん重くなっています。景気が良くなった実感はありませんし、患者さんから「薬を減らせませんか」「何カ月ごとに検査が必要ですか」などと聞かれることもあります。独居世帯の方は通院が誰かと会話する唯一の機会となっています。私やスタッフ、他の患者さんと話して笑顔で帰っていかれますが、これ以上患者負担が増えればそれが奪われてしまいます。
また、頼れる身近な医療機関として患者さんのQOLを上げるために開業医も日々努力しています。高度な医療も大切ですけれど、日頃の健康を支える一般診療の評価をもっと上げていただきたいです。
忙しい毎日ですが、日帰りや1泊の「プチ旅行」でリフレッシュしています。近郊でも訪れてみると魅力がたくさんあることに気がつきます。蒜山大山スカイラインのブナの紅葉は本当にすばらしかったです。
協会はいつも署名などに熱心に取り組んでおられますね。これからも患者負担軽減など医師の声を取りまとめ、安心して日常診療に取り組めるようバックアップを期待しています。
医師は患者さんや周りのスタッフなどに対する細やかな気配りやコミュニケーション能力が重要。女性医師・歯科医師の先生方には、女性ならではの力を地域医療で発揮していただければ嬉しく思います。