2016年1月25日(1803号) ピックアップニュース
燭心
中国の経済成長に陰りが見えてきた。「隣の家に蔵が建つと儂 は腹が立つ」と言うか、隣国の経済的成功を妬み、苦々しく思う一部の経済評論家もいるが、中国は日本と長い歴史的交流がある、巨大版図を有する大国である。一衣帯水(極めて隣接)の関係にあり決して無視できない▼米国ではGDPが№2になった中国に対し脅威論が浮上し、日本へのTPP参加や集団的自衛権行使容認の要請はズバリ中国包囲網である。かつての日本に対するABCD包囲網と同様、将来戦争の火種になる可能性もある。しかし一方、中国を人口13億を有す巨大市場と見なし狡猾に対応している▼米国の対中政策に関わってきたピルズベリーの言うがごとく、中国人の時間の長さは欧米人と異なる。悠久の大河の如く流れている。過去の中国の四つの王朝はそれぞれ、米国建国から現在までの250年を超える歴史を持つ▼アヘン戦争前の中国のGDPは、全世界の33%で世界最大であった。インド16%、英国5%、米国1.8%で(日本は3%)、西欧列強は軍事力に秀でただけであった。中国、インドが経済大国に新たになるのでなく19世紀の姿に戻るだけのことである。長い視点で見れば、途中何回か踊り場に差しかかるが、いずれ世界最大の強国となるだろう。1949年の中華人民共和国建国はその 濫觴
(始まり)で、アヘン戦争後の150年間は一炊の悪夢(邯鄲の枕)に過ぎなかったと後世の歴史家は言うであろう。(鼻)