兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2016年4月15日(1811号) ピックアップニュース

第89回評議員会特別講演 プレインタビュー(3)
政府の「情報操作」打ち破る

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前 済生会栗橋病院院長補佐
本田 宏先生

 5月15日に開かれる協会第89回評議員会(1面に案内)で講演する本田宏先生へ行ったインタビュー。全3回の最終回を掲載する。

政府の政策の根源にある国民の「分断」
 川西 これまで先生に、他国と比べて少ない日本の医療費について話を伺いました。私も、医療費抑制政策は歯科の分野で特に強く感じています。歯科の診療報酬は低く抑えられたままで、歯科衛生士や歯科技工士に十分な報酬が支払われていません。これでは後継者も減っていって、日本の歯科医療がますます貧しいものになっていってしまいます。
 本田 社会保障の改善が進まないのは、政府の情報操作で国民が「分断」されていることに根源があると思います。「財源がない」「社会保障がお荷物となっている」と宣伝し、市民の中に「社会保障削減派」を作り出しています。
 これは他の問題でも同じで、原発問題では財界主導で推進派を作り出し、米軍基地問題では外国との危機を煽って基地容認派を作り出すといったように、政府が国民を分断しているのです。
分断に対抗するため若者との「連帯」を
 川西 政府と大手マスメディアの巧妙な世論誘導には目をみはるばかりです。
 本田 現在私は、解決のキーワードは「連帯」だと思っています。昨年はシールズや「ママの会」など、安保法制反対でかつてない国民の運動が起こりました。
 川西 「自民党支持にプラス」と考えて18歳選挙権を党利党略で実現させた安倍内閣にとって、シールズなど若者の運動は大きな誤算となりました。今まで政治と無関心とも言われていた若い人が、将来よい日本を作ろうと政治に関心を持ってくれているのはうれしいですね。
 本田 ええ。薩長がクーデターで成立させた明治維新以降、日本政府は一貫して、国民を軽視してきました。そんな政府の姿勢を転換させることは一朝一夕にはできないと痛感しています。若い人たちと連帯して、長期戦で政府を追い詰めていかなければなりません。今思えば故高岡善人先生(元長崎大学名誉教授)が40歳ほども年の離れた私に日本の医療が抱える問題を伝えてくださったのは、若い私にご自身の医療再生の夢を託したかったからに違いありません。今度は、私が次の世代に伝える番だと思っています。
医療制度の転換のため協会は情報発信に力を
 川西 今年は夏に参院選を控えています。国民が団結してさまざまな点から、国民生活の充実へと政治を転換させるためには何が必要なのでしょうか。
 本田 政府の情報操作、例えば「日本の医療費は増えすぎている」「消費税率はまだまだ低すぎる」「法人税率は下げなければならない」、こういった誘導が政府と大手マスコミによって続けられています。これを打ち破るには、正しい情報を国民一人ひとりに伝えなければなりません。今度の評議員会では、そのために必要な視点と戦略をお話ししたいと考えています。
 川西 5月15日のご講演が楽しみです。本日はありがとうございました。(おわり)
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