2016年5月15日(1813号) ピックアップニュース
燭心
タックスヘイブン。ヘイブンとは、天国ではなく「回避地」のことである。漏れた「パナマ文書」は過去最大で、約21万社、1150万件の機密文書を含むとのこと。日本関連の企業は少なくとも20社、個人約230人ともいわれる▼タックスヘイブンに置かれた資金は2570兆円〜3750兆円、逃れた法人税は年間10兆7千億円〜25兆7千億円、世界の法人税の4〜10%にあたるとか▼資本主義とその利益は、法律の抜け穴を求めて世界中をうごめく。資本主義の堕落の広がりと大きさが、地理的、金額的に明らかになったと言えよう▼会社には利益が必要であるが、手段であって目的ではない。ペーパーカンパニーの目的は、「税金逃れ」の一点である。「例え違法と判断されても、ペナルティーを上回る利益がありますよ」と示唆する弁護士等の遵法精神の欠落も情けない▼「ヘイブン」は金持ちの天国であってはならない。逃げた日本の資金は200兆円〜300兆円と言われる。一方、消費税は1%で2兆円▼いうまでもなく税には所得再分配、格差是正の役割がある。国民のために存在する国家が、その権力を行使し、心得違いの輩に課税すればよい。年貢の納め時である▼ただ国家権力は強いものと癒着しやすい。「○○屋。お主も悪よのー」と金子を受け取り、庶民から年貢(消費税)を厳しく取り立てるようではいけない。期待すべきはジャーナリズムだが、日本の報道の自由度はまた下がった(空)