2016年5月15日(1813号) ピックアップニュース
熊本地震
医療機関に甚大な被害
医療機能復旧に支援を
熊本協会の木村孝文会長(写真上左)、徳永俊英副会長(同右)らを、(写真下左から順に)杉山正隆保団連理事、兵庫協会の広川恵一顧問、林功先生、加藤擁一副理事長らが激励し、阪神・淡路大震災の経験などを紹介
激しい揺れによって完全に倒壊してしまった住宅(熊本県益城町)
協会 熊本協会を激励・協力を開始
阪神・淡路大震災の被災協会として経験伝え支援しよう−。4月14日以降に震度7の強い地震が連続して起こり、死者49人、関連死19人など熊本県を中心に大きな被害が広がっている。兵庫協会は4月23日の理事会で、被災地への役員・事務局員の派遣など、熊本協会への協力を確認。4月24日から現地訪問を開始し、会員医療機関の被災状況確認など、活動を行っている。5月7日・8日には広川恵一顧問・加藤擁一副理事長、林功先生(西宮・芦屋支部)、藤田誠治事務局長、石本紳二・楠真次郎事務局次長、山下友宙事務局員が現地を訪問。また、杉山正隆保団連理事、平田高士京都歯科協会理事らも同行した。7日には、熊本協会の木村孝文会長らと懇談し、被災状況や阪神・淡路大震災の経験などを交流、見舞金を手渡した。西山理事長も電話で木村会長にお見舞いと継続した支援を表明した。8日には、熊本市中央区役所を訪ね、吉良直子課長補佐から状況をうかがい、意見交換した。
5月9日以後も事務局員を派遣し、被災医療機関の訪問を行っている。
被災者の窓口負担免除に
政府は4月25日の閣議で、熊本地震を激甚災害に指定し、阪神・淡路、東日本大震災と同様に、国保・社保ともに医療費の一部負担金免除を適用することを決めた。レポート
建物・医療機器に深刻な被害
協会事務局次長 小川 昭
熊本地震で現地を訪れた保団連の住江憲勇会長に、兵庫協会の小川昭事務局次長と境正俊事務局員が随行し会員医療機関を訪問した。現地からのレポートを掲載する。4月25日からの3日間で、震源に近い熊本県益城町や嘉島町、熊本市東区、西原村、御船町、山都町、美里町の40医療機関を訪問しました。会員の先生から喫緊の要望を直接聞き取り、被災住民の保険診療上の取り扱いや請求実務などもお知らせしました。
被災地域には新旧の家屋が混在しており、木造・本瓦の日本家屋やモルタルアパートの倒壊や損壊が目立ち、ビルでは1階がピロティ方式の物件、鉄骨構造パネル外壁物件で大きな損傷が見られました。建物被害の全容は、解明に時間を要するものと思われます。
医療機関の被害状況としては、とくに西原村一部地域などで水道復旧までに2カ月かかると予想され、歯科医院などで困難な状況です。
建物被害は一様ではありませんが、地盤沈下で建物全体が5〜10センチメートル程度隆起し、ガス・電気・上下水道などの配管が破断している被害が多い印象です。
また、くまもと温石病院(美里町)は、天井崩落等の大きな建物被害やスプリンクラー誤作動・配管破断による「水害」で医療機器が破壊され、本床内科病院(熊本市東区新外)もスプリンクラー誤作動によって著しい医療機器損壊の被害を受けていました。CT・MRI・X−Pなどが軒並み倒壊している永広医院(西原村)など、深刻な経済的ダメージを被っています。永廣武院長は「もう高額の医療機器は自前では買い直せない。医療圏全体でデータのシェアをするなどして、なんとか地域の医療を支えたいのだが」と不安を口にされていました。
別の医院では、建物が全体として斜めに隆起して床面が水平でなくなっており、建て替えが必要になるなど、見た目の印象以上に補修に費用がかかる場合も考えられます。
また、被害が軽微でも、被災した他病院からの患者を受け入れ、病床や入手不足が問題となっている医療機関もあり、なんらかの支援が必要と思われます。
「幸い、独自の井戸で地下水をくみ上げているのでよかった。手洗いにも事欠く村民にトイレなどを開放している」との声を複数の方から聞きました。「自宅が激しく損壊して余震の恐怖に怯えているスタッフとその家族を病院内に避難させ、シャワーなどを提供して衛生環境の確保に務めている」という熊本回生会病院など、各医療機関が、まさに地域共同体の公共社会インフラとしての役割と機能を果たしていることが伺えました。
被災医療機関・地域医療の復興に
募金のご協力を
理事長 西山 裕康
本紙に振込用紙を同封
マグニチュード7.3、最大震度7の強い地震が4月14日・16日、熊本地方を襲い、大きな被害が出ています。熊本県が発表した人的被害では、死者49人、関連死17人、避難者2万6千人以上となっており(4月末時点)、消防庁発表では被害確認分だけで全壊2111棟、半壊2414棟、一部損壊が9592棟あり、分類未確定の被害は1万7746棟にのぼっています。引き続く大きな余震に、いまなお地域住民は怯えながら不自由な避難所生活を強いられています。
こうした中で、熊本協会の会員をはじめ、多くの医療機関が被害を受けています。地域住民の健康と命を守ってきた医療機関の機能を一刻も早く復旧させ、地域の医療提供体制を確保することが、なによりも求められています。
兵庫協会では、震災直後から役員や事務局員を現地に派遣し、熊本協会とともに会員医療機関の訪問や安否確認、避難所での相談等の活動を行っています。
阪神・淡路大震災を経験した兵庫協会から、連帯の気持ちを込めた募金を熊本協会に届けたく、先生方にご協力を呼びかけるものです。募金は熊本県保険医協会に届け、被災した会員医療機関へのお見舞いや復興に向けたさまざまな活動に役立てていただきたいと考えています。ぜひともご協力をお願いいたします。
※本紙に「熊本地震募金」(1口5千円)振り込み用紙を同封していますので、ご協力ください。
募金受付:郵便振替口座 00910-2−150366 兵庫県保険医協会