2016年6月15日(1816号) ピックアップニュース
燭心
最近、テレビ番組を観て知ったが、かつて学生に奨学金を貸与・給付していた日本育英会はもう存在しないという。筆者も大学・大学院時代、お世話になった。卒業後数年間、返済は猶予され、20年間で返済した。無利子だった。教育職に就くと返さなくてもよいということで、伴侶は大学で教育職に就いたが、さほどの負担でもなかったので全額返済した。当時奨学金の返済が困難だということが社会問題になることはなかった▼日本育英会に替わる組織が学生支援機構だそうだ。給付はほとんどなく、貸与した奨学金には3%の利息がつき、滞納すると個人信用情報機関に通報されるという。これではサラ金や消費者金融と変わらないではないか。メディアのインタビューに、支援機構の職員は「返済率が悪いので断固たる措置をとるよう国から指示されている」と平然と言ってのけた▼小泉政権時代の構造改革政策により、非正規雇用が増大し若者の収入が激減、学費は上がっており、奨学金の返済ができなくなった若者が増えているという。支援機構の取り立てが厳しく、自己破産を選ばざるをえないケースや自ら命を絶つ人もいるそうである。教育に金を出さない政治、若者を貧困に追い込む政治。一方で出生率を上げようと、少子化対策を唱えてもむなしい。消費税率の据え置きを決めたからには総花的配分を止め、若い世代に集中して注ぎ込むこと。この国の未来へ、多くの予算をつけたいものである。(硝子)