兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2016年6月15日(1816号) ピックアップニュース

2016年度診療報酬改定による影響調査結果〈医科・入院外〉
全体・本体ともマイナス 〜ほど遠い地域医療再生

 4月1日から実施された診療報酬改定は、政府公称の数字から除外されていた薬価引き下げ分を含めると、全体で▲1.44%(本体+0.49%、薬価・材料費▲1.93%)で、国費ベースでは▲1473億円となっている。今次改定について実際の影響率を調査するため、協会は改定前の2016年2月診療分レセプトについて、新点数への置き換えを行った。医科診療所の13会員医療機関から、社保・国保・後期高齢あわせて750枚の入院外レセプト提出の協力を得た。

本体は▲0.18% 在宅改定が影響
 置き換え結果(下表)は、13医療機関合計で全体▲1.37%、本体(技術料)▲0.18%となった。院内処方の医療機関では薬価引き下げの影響が大きいが、技術料でも、公称の+0.56%(医科本体)とは異なりマイナスとなった。
 各種の乳幼児加算や採血、創傷処置(処理)、注射などの技術料が引き上げられているが、複数の検査料が引き下げられたことなどにより、外来診療分では改定幅はほぼゼロとなっている。さらに、今回の置き換えでは対象レセプトが少ないものの、在宅自己注射指導管理料「月28回以上」の60点引き下げや在宅時医学総合管理料の変更など、在宅医療点数の改定が影響し、全13医療機関では本体もマイナスとなった。政府は「本体プラス改定」を喧伝してきたが、置き換え結果をみると、地域医療に携わる開業医の実感とは異なると言える。
 置き換え結果に反映されていない新設点数について、鼻腔・咽頭拭い液採取(5点)は汎用点数になりそうだが、血液採取と異なり、インフルエンザ流行期などに算定が偏ると思われる。厚労省の疑義解釈により算定は1日につき1回のみとされたため、プラス影響はさらに限定される。
 その他の新設点数では、認知症地域包括診療加算(30点)は、地域包括診療加算と同様の施設基準が求められることから、算定する医療機関は少数に留まることが予想される。また、これまで一般名処方加算(2点)を算定していた医療機関が同加算1(3点)を、院内処方の医療機関が外来後発医薬品使用体制加算1(4点)を算定したと仮定し置き換えても、プラス影響は限定される。
初・再診料の引き上げが不可欠
 今次改定は、「かかりつけ医機能の強化」や「後発医薬品のさらなる促進」という政府方針に沿った新設点数を算定した場合、わずかにプラスとなるかもしれないが、これまでの地道な地域医療を評価した内容では到底ない。長年にわたる低医療費政策で疲弊した地域医療を再生し底上げするためには、技術料の中核である初・再診料の引き上げこそが必要不可欠である。

表 協会会員医療機関における2016年2月診療分の社保、国保、後期高齢者の各レセプト置き換え
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