2016年7月15日(1819号) ピックアップニュース
燭心
日本国民は「国権の発動たる戦争」が嫌いである。ある国際的な調査では「国のために戦う意思がある」日本人は10%で64カ国中最低。ドイツ18%、イタリア20%、イギリス27%、フランス29%、アメリカ44%。周辺国では、ベトナム89%、フィリピン73%、中国71%、ロシア59%、韓国42%▼戦争には言い訳が要る。自衛のため、同盟国のため、正義のため...▼イギリスの政治家、アーサー・ポンソンビーは、イギリス政府が行ったプロパガンダから、10の要素を導き出した。(1)われわれは戦争をしたくない(2)敵側が一方的に戦争を望んだ(3)敵の指導者は悪魔のような人間だ(4)領土や覇権ではなく偉大な使命のために戦う(5)この大義は崇高だ(6)われわれも誤って犠牲を出すが、敵はわざと残虐行為に及んでいる(7)敵は卑劣な兵器や戦略を用いている(8)われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大(9)芸術家や知識人も正義の戦いを支持している(10)この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である−日本と周辺国はいくつかの項目をクリアしつつあるのではないか▼歴史学者のアンヌ・モレリは「私たちは、戦争が終わるたびに『もう二度と騙されないぞ』と誓うが、また罠にはまってしまう」と指摘する▼冒頭の質問で「分からない」と答えた日本人は44%と他国に比べてかなり多い。これらの層がプロパガンダにより戦争に向かってしまうのだろうか。日本が戦前ではなく、戦後であることを長く続けたい(空)