兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2016年7月25日(1820号) ピックアップニュース

談話 参議院選挙結果を受けて
医療改悪計画の実現阻止を  政策部長  加藤 擁一

 7月10日投開票された参議院選挙の結果、自民・公明与党は11議席増やし、非改選議席と合わせ安定多数を確保した。改憲に前向きなおおさか維新や日本のこころ、一部の無所属議員を加えると参院全議席の3分の2を上回った。「改憲議席を確保」と報道されたが、後述のように「改憲」は国民の信を得たものでない。慎重な政権運営を求める。
 一方野党は、民進党・共産党・社民党・生活の党の4党が、すべての一人区で「野党共闘」を行い注目され、32のうち11で勝利するなど一定の健闘をした。とりわけ米軍基地問題や原発事故問題が争点とされた沖縄や福島では現職閣僚を打ち破り、TPPが争点となった東北地方でも多くの選挙区で勝利した。共闘選挙区全体の得票率で見るとおよそ44%と、実体はさらに近接していたと言える。野党各党には、共闘の一致点をさらに深め、安倍政権への対抗軸としての役割をしっかりと担うことを期待する。
 安倍首相と自公両党は、選挙期間中一切「改憲」を口にせず、争点隠しに徹した。にもかかわらず、選挙後の記者会見で「(自民党改憲草案の)実現は総裁の責務」と表明し、議論を呼びかけた。「選挙が終わればさあ改憲」は国民だましであり、許されるものでない。自民党の改憲草案は、国民の基本的人権に制約を課し、また海外での戦争に加担可能とする重大な内容が含まれている。「改憲」を言うならば国民に全容を明らかにし、再度きちんと信を問うべきである。
 また、今回の参院選では、テレビ局の選挙報道自粛の姿勢が目立った。政権の監視というメディアの責務を自覚し、国政選挙の時こそ公正な情報発信を行うよう求めるものである。
 社会保障をめぐる動きにも強い警戒が必要だ。さっそく厚労省の審議会等では、「受診時定額負担」の導入や後期高齢者の窓口負担2割化など、さまざまな改悪メニューが目白押しである。多くの世論調査で、国民が今回の選挙に最も期待するもののトップは「社会保障」だ。安倍政権には、これら国民の声に耳を傾け、改悪を中止するよう要求する。
 保団連と兵庫協会は、引き続き「ストップ!患者負担増」署名を柱とする医療改悪阻止運動を強めるとともに、改憲に反対し、平和と社会保障を守る運動をいっそう進める決意である。
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