兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2016年10月05日(1826号) ピックアップニュース

燭心

 前回に引き続いて、猫の話題を。暇な話で紙面を汚して叱られそうだが、後日談をぜひ聞いていただきたい▼わが家の猫が死んでほどなく、娘の知人から連絡があった。犬猫の保護ボランティアをしている女性で、1匹育ててもらえないかという依頼である。聞けば、あるブリーダーが放棄した猫らしい。1年以上ケージの中だけで飼われていたとのことだ。ペットショップで売れ残った犬や猫は「返品」されて哀れな末路をたどると聞いたことがある。もちろん、まじめに里親さがしに取り組んでいる業者も多いのだろうが、何ともやりきれない話だ。一度会ってみることにした▼人間で言えば児童「ネグレクト」であろうか。食事も十分与えず、子どもだけで長時間家の中に放置しておく。学校や病院にも行かせない事例もあるそうで、日本でも社会問題になってきている。児童相談所が対応する「ネグレクト」だけでも、年間1万5千件程度あるという。背景には貧困・格差社会の進行があるのだろう、近年増加傾向にあるという。こちらも何ともやりきれない▼話題がそれてしまったが、くだんの猫、女性の救助のおかげで、すっかり元気を取り戻しているようだ。そんなこんなでわが家の一員に加わりひと月が経った。いまだ抱かれたりするのは嫌がるが、今までのストレスを発散するかのごとく家中を走り回っている。早朝からの運動会に付き合い、いやはやこちらも、すっかり半猫人(はんびょうにん)だ。(星)
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