2016年10月25日(1828号) ピックアップニュース
主張 臨時国会 数の論理でゴリ押しせずまともな議論重ねよ
9月26日、臨時国会が召集された。首相の所信表明演説では自民党議員がスタンディングオベーションをするという異様な光景が繰り広げられ「安倍将軍様の出現か」「言論の府にふさわしくない」など、さまざまな意見が出た。
この国会はだまし討ち・暴走国会とも言われている。国民生活を脅かす、医療・介護、年金、労働法制などの制度改悪を参議院選挙では全く争点にせず、公約にもしていなかったにもかかわらず、臨時国会が開会してからは着々と具体化を進めている。
さらに、憲法改正などについても参議院選挙では全く触れず、また自民党憲法草案も一時封印するとまで言っていた。しかし衆議院予算委員会で首相は、改憲に積極的姿勢を示し、「憲法審査会で静かに論議を」と数の論理を背景に、改憲討議に引きずりこもうとしている。
昨年成立した安保関連法の具体化も進んでいる。住民保護のために交戦も行いうる国連PKOとともに行う「駆けつけ警護」。武力衝突が続く現地を非戦闘地域と言い張る乱暴さ。また、自衛隊員が捕らえられた場合、国際法上「捕虜」という扱いを受けられないという指摘が専門家からされている。安倍首相は同法について、国民に対し「ていねいに説明し、理解していただく」としていたが、全くその気配もない。
「国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と憲法に規定されており、予算の執行、法律の制定は「未来への責任」をもって国会が行う重要な任務である。
10月11日に第二次補正予算が成立したが、はたして国民に対し、未来への責任をもって討議され、決定されたのか、疑問は大きい。
この補正予算は総額約28兆円にも及ぶ経済対策の第1弾である。内容はもとより赤字予測のリニア新幹線、爆買い観光客誘致のための港湾整備など、さまざまな問題を抱える、旧態依然の公共事業が中心である。
このように国民生活に重要な影響を及ぼすさまざまな事柄を(1)公約にもせず、(2)まともな論議をせず、(3)数の論理でゴリ押しする、これはだまし討ち・暴走国会そのものである。「TPP締結は強行採決で」と平気な顔で発言する山本農相の無神経さはその典型だ。「国権の最高機関」にふさわしい議論を求めたい。
象徴的なこととして高市総務相の「停波」発言があったが、そもそも「放送法」は戦時中の言論統制、検閲など、過去の過ちを繰り返すことがないように制定されたもので「放送が健全な民主主義の発達に寄与せよ」とある。
さまざまな格差により国民生活が困難に直面している今こそ、ジャーナリズムの本領を発揮し、国民に対しくわしく、またあらゆる角度から多くの情報を発信することを期待する。
この国会はだまし討ち・暴走国会とも言われている。国民生活を脅かす、医療・介護、年金、労働法制などの制度改悪を参議院選挙では全く争点にせず、公約にもしていなかったにもかかわらず、臨時国会が開会してからは着々と具体化を進めている。
さらに、憲法改正などについても参議院選挙では全く触れず、また自民党憲法草案も一時封印するとまで言っていた。しかし衆議院予算委員会で首相は、改憲に積極的姿勢を示し、「憲法審査会で静かに論議を」と数の論理を背景に、改憲討議に引きずりこもうとしている。
昨年成立した安保関連法の具体化も進んでいる。住民保護のために交戦も行いうる国連PKOとともに行う「駆けつけ警護」。武力衝突が続く現地を非戦闘地域と言い張る乱暴さ。また、自衛隊員が捕らえられた場合、国際法上「捕虜」という扱いを受けられないという指摘が専門家からされている。安倍首相は同法について、国民に対し「ていねいに説明し、理解していただく」としていたが、全くその気配もない。
「国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と憲法に規定されており、予算の執行、法律の制定は「未来への責任」をもって国会が行う重要な任務である。
10月11日に第二次補正予算が成立したが、はたして国民に対し、未来への責任をもって討議され、決定されたのか、疑問は大きい。
この補正予算は総額約28兆円にも及ぶ経済対策の第1弾である。内容はもとより赤字予測のリニア新幹線、爆買い観光客誘致のための港湾整備など、さまざまな問題を抱える、旧態依然の公共事業が中心である。
このように国民生活に重要な影響を及ぼすさまざまな事柄を(1)公約にもせず、(2)まともな論議をせず、(3)数の論理でゴリ押しする、これはだまし討ち・暴走国会そのものである。「TPP締結は強行採決で」と平気な顔で発言する山本農相の無神経さはその典型だ。「国権の最高機関」にふさわしい議論を求めたい。
マスメディアは正確な情報を
もう一つはマスメディア、特にテレビ報道の問題を指摘しておきたい。安倍首相になってからテレビ局が萎縮し、特に政治課題について内容が希薄になってきている。象徴的なこととして高市総務相の「停波」発言があったが、そもそも「放送法」は戦時中の言論統制、検閲など、過去の過ちを繰り返すことがないように制定されたもので「放送が健全な民主主義の発達に寄与せよ」とある。
さまざまな格差により国民生活が困難に直面している今こそ、ジャーナリズムの本領を発揮し、国民に対しくわしく、またあらゆる角度から多くの情報を発信することを期待する。