2016年12月15日(1833号) ピックアップニュース
燭心
安倍総理が次期米国大統領とトランプタワーで会見した。世界の首脳で最初に自宅を訪問したと自画自賛、はしゃいでいるが、犬が新しい飼い主のところへ餌を求めて馳せ参じているように見えて滑稽である。次期大統領の言質は取れたというが、話の内容、「密約」については全く沈黙したまま。海外の報道、特に中国および周辺国は「倭国が米国へ朝貢した」などと揶揄している▼後漢書東夷伝によると、西暦57年倭奴国が光武帝に朝貢して金印を授かったという。聖徳太子の時代には平等に対応したとしても、華夷思想( 冊封 体制)の頃は、周辺の小国が特産品を持って中華帝国の首都へ赴 くと、その何倍もの価値のあるものを皇帝から下賜された▼今回の訪米は、この朝貢以下である。密約はおそらく日本の軍事費を増やし、米軍基地負担も増やせということであろう▼朝鮮通信使は江戸時代、李氏朝鮮から徳川将軍家の代替わりに際し12回も派遣され、日本の一部の歴史家は朝貢とみなしている。しかし誇り高い韓国人は「かつて日本に朝貢した」と言われたくないだろう。この時、朝鮮通信使は江戸まで行ったが、日本は対馬か釜山までしか行っていなかった。一国の元首が他国の帝都の王宮へ赴くことは重要な意味を持つ。北京へニクソン大統領、田中角栄首相が訪問したことにより国交が正常化した。ちなみに、スターリンは北京を訪問していない。安倍首相の軽率な行動は、日本の歴史に汚点を残す。(鼻)