2017年2月15日(1837号) ピックアップニュース
燭心
天皇陛下の生前退位が具体化しつつある。日本の歴史や憲法が絡む複雑な問題だが、有識者会議の座長が経団連名誉会長というのはいかがなものか▼日本国憲法には「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」とある。「象徴」とは、抽象的な概念をより具体的な事物や形によって表現することであり、「ハトは平和の象徴」などと使われる▼では、天皇が象徴している「日本国」「日本国民統合」とは何か。一時期は「まさに天皇を中心としている神の国」、つまり「皇国思想と神国思想」が日本の「国体」であったが、今「国の基礎的な政治(統治)の原則」を探すとすると、やはり日本国憲法か。戦後、天皇陛下が象徴として体現してきたのは日本国憲法ではないか▼一方、アメリカの象徴は「自由の(女神)像」だろう。正式名称は「世界を照らす自由(Liberty En-lightening the World)」である。自由と民主主義の象徴であるとともに、19世紀以降世界各地からの移民にとって、新天地の象徴である▼日本国憲法の前文には「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」「国際社会において、名誉ある地位を占めたい」とある。大国間に孤立主義が跋扈しそうな今こそ、日本国憲法の精神が求められるのではないだろうか▼合衆国新大統領には母国の自由の像を訪れ、日本国憲法前文を読むことをお勧めする。(空)