2017年3月05日(1839号) ピックアップニュース
審査対策部が支払基金労組と懇談
支払基金の見直し「狙いは医療費削減」
全基労の平岡中央執行委員長(右端)・道綱兵庫支部長(右2人目)と審査体制の見直し等について意見交換(2月9日、協会会議室)
支払基金の組織体制をめぐっては、2015年9月より政府の規制改革推進会議で議論され、都道府県支部の集約等を通じたコスト削減が提案されていた。同会議の議論を受けて厚生労働省に設置された有識者検討会では、「レセプト点数に応じた審査手数料の段階設定」や、「審査委員による審査は一部のレセプトに限定する」「支払基金職員による審査事務共助を減らし、コンピューター審査を全体の8割以上にする」などの案が支払基金からも提出されている。
全基労は「手数料の段階化はレセプト審査に費用対効果を求める意見に与することになり、審査制度の根幹を揺るがしかねない」と指摘。韓国のレセプト審査機関HIRAのような、コンピューター審査中心の体制が目指されていることにも触れながら、「審査委員による審査を減らして、医学的判断が必要な部分をコンピューターによる判断に置き換えることは、画一的な査定を強化することになる」など、政府の議論の方向性に危機感を表明。支払基金「改革」は、保険診療の範囲の縮小や医療費の削減につながり、ひいては国民の医療を受ける権利を侵害するものだと指摘した。
協会からは、「ナショナルデータベース(NDB)などレセプト等のビッグデータ活用の議論があるが、設備投資に莫大な費用がかかり、一部の企業を儲けさせることにしかならない」「支払基金見直しの狙いの根本は医療費削減なので、医療機関にも悪影響としてはねかえってくる」などの意見が出され、全基労と問題意識を共有した。