2017年3月15日(1840号) ピックアップニュース
燭心
「医療ツーリズム」に関して最近新たな動きがある。「日本再興戦略 改訂 2015」で定められた外国人患者の受け入れを進めようと、政府と協力し医療の国際展開を進める一般社団法人「メディカル・エクセレンス・ジャパン」が、海外の患者に推奨する「日本国際病院」として国立、公的病院を含む28病院を選んだ。海外向けに日本の病院をアピールし、経済成長につなげるというもの▼医療版の「爆買い」を狙っているのだろう。またぞろ日本の医療資源を海外の富裕層に売り渡し金儲けの手段にするとは。アベノミクス道半ば、ひどいエンジンのふかし方である▼医師不足に加え、偏在も問題になっている日本の医療供給体制、安心・安全の医療をしっかり確立することが先決だ。儲かるのはだれか? 苦しむのはだれか? 明白である▼神戸にも新たな動きがある。神戸市は海外からの患者を受け入れるために、専門窓口を設置するとのこと。10月頃開設の予定で、窓口を一本化し医療専門通訳などの配置で円滑に運営するため、今年度に予算を計上。医療産業都市にある六つの病院が対象という▼医療産業都市では、アイセンター・先端医療センターが市民病院と合体、破たんしたKIFMEC跡に神戸大学が「医学部附属国際がん医療・研究センター」を開設し、がん治療・医療ロボットを中心に国際展開を謳う。市民よりも海外の富裕層を重視すれば、さらに医療崩壊が進むのでは。不安が募る。(無)