2017年3月25日(1841号) ピックアップニュース
アスベスト問題について中央要請行動
健康被害の予防求める
環境省と懇談する森岡先生(1.左端)。堀内(2.右)・大門(3.右)両議員に要請書を手渡す上田先生(2.中央)、永倉氏(2.左)
環境省・厚労省と懇談
環境省との懇談では、「解体等工事における石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションガイドライン(案)」の作成を担当する水・大気環境局大気環境課課長補佐の廣田由紀氏ら3人が対応した。同ガイドラインをもっと住民の立場に立った内容にすべきとの協会の要望に対し、「業者の方々に向けて、どう住民とやりとりするかという観点で作成したもの」とした。
厚労省との懇談では労働基準局から労災管理課の係長ら5人が対応した。
協会は、労災の認定要件の緩和を求めるとともに、アスベスト疾患の早期発見のため、肺がん検診の問診票を改善すべきと訴えた。また、命を守るという立場から各省庁で連携し、予防・早期発見・補償を行ってほしいと要望した。
堀内・大門両議員「共にがんばりたい」
国会議員への要請では、堀内照文衆議院議員(共産)、大門実紀史参議院議員(共産)と面談した。堀内議員は、アスベスト問題について厚生労働委員会で2度取り上げていると応じ、クボタ・ショック以降、建物解体時のアスベスト飛散問題、震災アスベスト問題と課題は山積しているとの認識を示し、改善を求め引き続き取り組んでいきたいとした。また、協会で集めた「原発再稼働をやめ、再生可能エネルギー中心の社会への転換を求める」請願署名240筆の紹介議員を引き受けた。
大門議員は議員になる前からアスベストの問題に取り組んできたとし、地元からも大きな声を上げてもらいながら、共にがんばっていきたいとした。
[報告] 住民の安全・安心保証するガイドラインを
環境・公害対策部員ストップ ザ アスベスト西宮代表 上田 進久
建物の解体に伴うアスベスト飛散の問題は、社会的に強い関心を集めています。近隣住民の不安を取り除き、アスベストを安全に除去するためにリスクコミュニケーションについて話し合うという「解体等工事における石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションガイドライン(案)」が環境省より公表され、パブリックコメントの募集と共に、フォーラムが2月17日、東京都内で開催されました。リスクコミュニケーションは、住民・行政・業者が共に情報を共有して話し合うというもので、リスクを負う立場にある住民の安全・安心を保証するためのものです。しかし、このたび示されたガイドライン(案)は、行政や業者に偏った内容となっています。また、言葉も曖昧なままで使用されているため、明瞭な内容にはなっていません。
具体的には、「情報提供」については、住民の知る権利として記載されておらず、また解体前の「事前調査」についても、調査者や調査方法が明記されていません。アスベストは発ガン性物質としてWHOで分類されていますが、資格もない者が調査をして届け出ているのが現状です。これらの大切な語句が厳格に規定されてこそ影響力のあるものとなります。
ガイドライン作成委員は、研究者・行政・業者から構成されていますが、住民は参加していません。被害者である住民の意見が取り入れられてはじめて、このガイドラインが現実的なものとなり、将来安全な除去作業が行われるようになっていくものと考えます。
フォーラムでは研究者より「アスベスト対策基本法」などの法制化が必要であるとの発言がありました。これにより飛散防止から被害者への補償までが一本化されて分かりやすいものとなり、住民が積極的に参加できることが、リスクコミュニケーションの基本となるのではないでしょうか。
ぜひとも法制化の実現に向けて、皆さまのご協力をお願いいたします。