2017年3月25日(1841号) ピックアップニュース
日本医師会・健康保険組合連合会と
医療の消費税問題で懇談
(上)日本医師会の今村聡副会長(右2人目)と、吉田静雄・兵庫県民間病院協会監事(左2人目)、保団連の住江憲勇会長(左端)・馬場一郎理事(右端)が懇談 (下)健保連の白川修二副会長(中央)と意見交換を行った
日医
医療界で協力し問題解決を
日本医師会との懇談は、今村聡副会長が対応した。今村副会長は、医療の消費税問題の解決方法として、これまで日医は「ゼロ税率を含む課税軽減税率」を求めていたが、平成29年度税制改正要望より「非課税還付」に変わったことについて説明。医療界の意見がまとまらないと議論の俎上にすら載らないため、病院団体や日本歯科医師会、日本薬剤師会と議論し、今回の形に収まったと説明した。
これに対し、吉田先生は、1月に行った財務省との懇談で、同省が非課税還付方式は消費税法上の仕組みとして成り立たないとの見解を示していると紹介し、「非課税還付」方式は実現が難しいのではないかと述べた。今村副会長は、現在の消費税法の下ではできないが、法改正を行えば可能であり、法改正が必要という点では、課税ゼロ税率方式も同様であると見解を述べた。
また、消費税増税が延期される中、財務省がこの問題を議論しないと言い出したのに対し、日医から要望を行い、税制改正大綱の「消費税率が10%に引き上げられることが予定される中...(損税問題の)抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずる」とのそれまでの文言を「消費税率が10%に引き上げられるまでに」と増税までに解決を行うよう変更させたとその成果を強調し、住江会長は尽力に敬意を表した。
また、今村副会長は「最終的には課税ゼロ税率が最も良い制度だということは理解しているが、食料品ですら軽減税率を導入するのがやっとという状況で、社会保険診療でゼロ税率を導入するのは難しい。ゼロ税率でなく軽減税率となると、患者はこれまでの非課税から軽減ではあっても課税となってしまう。このことに患者、国民の理解が得られるのか」と懸念を示した。
最後に「10年前に比べると、医療界も国会議員も多くの人が問題を認識し、この問題で地域医療を崩壊させてはいけないとの思いを共有している。医療界だけでなく、研究者等とも交流を広げ、引き続きがんばっていかなければならない」と改めて決意を述べ、「保団連もいろいろなところで声を上げてほしい」と締めくくった。