兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2017年4月15日(1843号) ピックアップニュース

燭心

 3月27日から5日間、国連で「核兵器禁止条約」の交渉会議が行われた。日本政府はアメリカなどの核保有国に同調してこれをボイコットした。唯一の被爆国が座るべき席には、メッセージの書かれた折り鶴が1羽置かれていたという。〝wish you were here−あなたにいてほしい〟込められた思いを受け止めるすべがないのか、残念である▼条約に賛同する国は120を超える。世界地図を見ると、アフリカ、中南米、東南アジア、中東などはほとんどの国が参加している。発展途上国が、核保有国とその同盟国を包囲する構図が見える。第2ラウンドの最終日、7月7日には条約案をまとめあげるという▼核保有国が参加してなければ意味がないという意見もあろうが、そうではあるまい。拘束力のある条約ができることによって、核兵器の「非人道性」が世界の国々に公認される。被爆者たちが生涯をかけて訴え続けてきたことである。核戦争が人類の倫理にもとるとの世論が広がれば、核兵器は使うことができないガラクタに変わるだろう▼ヒロシマ・ナガサキから、間もなく72年になる。「この条約は世界を変えるし、変えられる。私たち被爆者はそう確信している」カナダ在住のサーロー節子さんの演説の一節である。道半ば、紆余曲折はあろうが、自分たちの生あるうちに核兵器の廃絶をとの被爆者の願いに答える道が、やっと見えてきた。今年の七夕はいいことがありそうな、今から星に願いをかけておこう(星)
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