2017年5月15日(1845号) ピックアップニュース
学校歯科治療調査
口腔崩壊の子ども推定1800人
NHK関西ニュースのトップで報道
NHKの取材に応え、歯を残すために貧困対策は急務だと語る足立了平理事
要受診の子ども65%が未治療
口腔崩壊の子どもがいる学校36%
調査は学校歯科検診を受け、要受診の診断を受けた子どもの受診動向や、口腔崩壊の実態、学校での歯科保健指導の状況などをつかむ目的で実施したもの。兵庫県内すべての公・私立小中高等学校・特別支援学校1409校を対象に、3月1日から31日までの期間に実施。回答数は274校、回答率は19.4%だった。学校歯科検診を受けた生徒のうち、31.6%が要受診と診断されたが、実際に歯科医療機関を受診したのはわずか35%であったこと、36%の学校が口腔崩壊の子どもが「いた」と回答しており、その人数は346人に上ることが明らかとなった(詳細次号)。
NHKの番組では、調査結果をもとに、「虫歯の子ども65%が治療せず」「〝口くう崩壊〟300人以上」とし、県内で口腔崩壊の子どもが1800人にのぼると推定されるとした。
また、回答の自由記入欄の一部を紹介し、「咀嚼が困難なまま長期間放置されている」「歯肉炎も重度。固いパンが食べられない」「声が小さく、表情があまりない」と学校生活にも支障が出ているとし、家庭状況についても、「経済的困難」「育児放棄」「ネグレクト傾向」「仕事が忙しく医院に行くヒマがない」などの事例があるとした。
協会理事で神戸常盤大学短期大学部教授として調査結果のコメントを求められた足立了平先生は、「口くう崩壊の子どもはその背景に経済的な困難や共働き、保護者の理解不足というようなことが見えてきている。歯をたくさん残さないといけないので、働き方改革、貧困対策、経済困窮者の対策が急務になっている」とした。
歯科部会は調査結果を学校、行政、メディアなどに広く伝え、歯科保健の改善・充実を求めていく。