兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2017年6月15日(1848号) ピックアップニュース

燭心

 兵庫県保険医協会が実施した学校歯科検診に関する調査結果が大きな話題となっている。県下の小中高等学校などで実施された歯科検診の結果、要受診とされた生徒が31%いたにもかかわらず、そのうちの実に65%が歯科医院を受診していなかったという。また、多くのむし歯が進行して噛みにくい状態になる「口腔崩壊」の生徒がいると回答した学校が35%あった▼未受診や口腔崩壊の背景には様々な要因が絡み合う。教員からは口腔崩壊の生徒の家庭状況として、ひとり親、親の無理解、経済的困窮、育児放棄などが挙げられた▼子どもの貧困は世界的な問題だ。日本の相対的貧困率は3人に1人、ひとり親世帯の貧困率は2人に1人であり、先進国中アメリカに次いで多い。相対的貧困とは、国民の給与の中間値を算出し、その半分以下の収入の人たちを指す。口腔崩壊や未受診の原因を貧困だけに求めるのは早計であるが、民医連の調査では、生活保護受給者よりもむしろこのような成人に口腔崩壊が多いという▼ひとり親家庭のように受診する時間がないという時間的貧困も、働き方改革だけでは解決できない。健康寿命の延伸に口腔保健が重要であることも時間的貧困者には届かない。全ての子どもたちが集まる学校でのアプローチは有効であるが、16%の学校で歯科保健指導がなされていなかった。医療から遠く離れたところにいる人たちに私たちはどう働きかけるのか、医療者は無関心ではいられない。(九)
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