2017年7月05日(1850号) ピックアップニュース
国保自治体アンケート結果 差し押さえ6千400件
県下の各自治体に対し、協会が毎年実施している「国保(国民健康保険)自治体アンケート」の結果、保険証の未交付が3万6千件に上っていることなどが明らかになった。国保料(税)の滞納が17万4736世帯、滞納による差し押さえ件数も6447件に上るなど、高い国保料に苦しんでいる加入者の実態が表れている。このアンケートは1988年に開始し、25年連続で全自治体から回答を得ている。
県全体の保険証未交付率は、被保険者世帯比で4.6%と前年を下回ったものの、大都市では依然10%前後と高水準で、県下で3万6797世帯が、保険証のない「無保険」状態に置かれている。市町別では尼崎市で10.9%と最も高く、次いで姫路市9.6%、加東市8.1%と続く。加入世帯が最多の神戸市は5.6%だった(図)。
有効期間の短い短期保険証の交付は、被保険者世帯比では3・82%と、前年度よりは1ポイント近く減少した。しかし依然として3万610世帯が「短期保険」状態で、慢性疾患などの長期的な受診が難しい状態に置かれている。
窓口でいったん全額自己負担しなければならない資格証明書の交付は1万1166件、被保険者世帯比では1.39%と、昨年比1.3倍の高水準となった。
国保料の滞納世帯数は17万4736世帯で、これは国保加入世帯の実に21.8%にあたる。滞納期間が1年を超える場合の差し押さえ件数は、昨年より増加し6447件となった。最多は昨年に続き洲本市の729件。同市で1年以上の滞納があった世帯は1001世帯で、多数の世帯を対象とした差し押さえが行われていると考えられる(2面表)。
国保には国保法44条に基づいて、災害・事業の休廃止・失業・生活困窮の場合に、医療費窓口負担が免除、減額、猶予される制度が定められている。県下でも約8割に当たる34市町で対応する条例・規則・要綱が定められているが、実際の利用はわずか4市町のみと、44条に基づいた減免制度がほとんど活かされていない。
国保担当者からは「事業費納付金の試算すらまだ不明な状態なので、回答内容を判断できる状況にない」とのコメントが寄せられるなど、当事者である自治体ですら都道府県化の影響が未だ不明な実態が明らかになった。厚労省は、都道府県化に合わせて毎年3400億円の追加支援を始めるので財政基盤が安定するとしているが、これは自治体の独自繰り入れよりも少なく、財政を立て直すには不十分だ。
調査によって、5世帯に1世帯が滞納、さらには保険証を持っていない世帯数が3万を超えているなど、県下の国保の厳しい現状が明らかとなった。その原因は、政府による国庫負担率引き下げの影響が大きい。
国保は市民の助け合い制度ではなく、憲法25条の生存権によって定められた社会保障制度の大切な柱の一つである。国による国庫負担率の抜本的な引き上げが求められる。
県全体の保険証未交付率は、被保険者世帯比で4.6%と前年を下回ったものの、大都市では依然10%前後と高水準で、県下で3万6797世帯が、保険証のない「無保険」状態に置かれている。市町別では尼崎市で10.9%と最も高く、次いで姫路市9.6%、加東市8.1%と続く。加入世帯が最多の神戸市は5.6%だった(図)。
有効期間の短い短期保険証の交付は、被保険者世帯比では3・82%と、前年度よりは1ポイント近く減少した。しかし依然として3万610世帯が「短期保険」状態で、慢性疾患などの長期的な受診が難しい状態に置かれている。
窓口でいったん全額自己負担しなければならない資格証明書の交付は1万1166件、被保険者世帯比では1.39%と、昨年比1.3倍の高水準となった。
保険料減免世帯6割近くに
自治体による独自の保険料減額制度の利用世帯数は8万2324世帯で、全体の10.3%となったが、市町別の内訳では、西宮市で市内加入世帯の40.4%にあたる2万5608世帯、尼崎市で42.1%にあたる3万67世帯が利用しており、この2市だけで県下の独自減免制度利用者の67.6%を占める。2市以外での利用率は4.0%にとどまっており、自治体間の格差が際立つ。高すぎる国保料是正のため、自治体独自の減免制度の拡充が求められる。国保料の滞納世帯数は17万4736世帯で、これは国保加入世帯の実に21.8%にあたる。滞納期間が1年を超える場合の差し押さえ件数は、昨年より増加し6447件となった。最多は昨年に続き洲本市の729件。同市で1年以上の滞納があった世帯は1001世帯で、多数の世帯を対象とした差し押さえが行われていると考えられる(2面表)。
国保には国保法44条に基づいて、災害・事業の休廃止・失業・生活困窮の場合に、医療費窓口負担が免除、減額、猶予される制度が定められている。県下でも約8割に当たる34市町で対応する条例・規則・要綱が定められているが、実際の利用はわずか4市町のみと、44条に基づいた減免制度がほとんど活かされていない。
国の責任で国保改善を
国保都道府県化による保険料の値上げについての質問では、32市町が「わからない」と回答した。国保担当者からは「事業費納付金の試算すらまだ不明な状態なので、回答内容を判断できる状況にない」とのコメントが寄せられるなど、当事者である自治体ですら都道府県化の影響が未だ不明な実態が明らかになった。厚労省は、都道府県化に合わせて毎年3400億円の追加支援を始めるので財政基盤が安定するとしているが、これは自治体の独自繰り入れよりも少なく、財政を立て直すには不十分だ。
調査によって、5世帯に1世帯が滞納、さらには保険証を持っていない世帯数が3万を超えているなど、県下の国保の厳しい現状が明らかとなった。その原因は、政府による国庫負担率引き下げの影響が大きい。
国保は市民の助け合い制度ではなく、憲法25条の生存権によって定められた社会保障制度の大切な柱の一つである。国による国庫負担率の抜本的な引き上げが求められる。
図 保険証未交付率上位5市町
調査は、県下全41市町に対して、昨年12月1日時点での保険証交付数、資格証明書、短期保険証の発行、減免制度、差し押さえ件数などを聞いた。
〈国保自治体アンケート〉県下自治体の国保保険証の未交付数、差し押さえ件数一覧