2017年7月25日(1852号) ピックアップニュース
燭心
国政を左右するとされる東京都議選が、自民党の歴史的大敗で終わった。小池知事の〝劇場型選挙〟に国民は何とも弱いものである。がしかし、安倍一強の牙城がざわついている。各週刊誌の見出しもにぎやかだ。国民はもとより党内からの批判も出始めている▼選挙応援で起こった「かえれ」「やめろ」コールに、首相は「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と語気を強めた。多様な世論に耳を傾けるべき最高権力者が、有権者を敵と味方に分けるような発言、波紋を呼ぶのも当然だ▼憲法記念日に期限を切り憲法九条を改憲、秋の臨時国会に案を提出するとした安倍首相。党内からも異論が出たか、正式提出でなく憲法審査会にたたき台を提示すると訂正させられるか。与党内からも「政権の扱う課題ではない」と▼自民党若手議員が5日、政府の骨太方針である2020年PB(基礎的財政収支)黒字化目標撤廃を求め、意見書を官邸に提出。理由は必要なところにお金が回っていないからという。16年度の税収で、一般会計の税収は0.8兆円減り、最も落ち込んだのは法人税収0.5兆円、減税するも生産拠点は海外に▼閣僚議員の暴言失言、奇行。森友、加計問題。誰もがイエスマンになり口を閉じる。しかしこの選挙結果で空気は変わった。馬鹿には見えないとされる王様の立派な服が、実は何もない虚構であると知りながら、もてはやしていたことの後ろめたさか。「安倍首相は裸だ」声が聞こえる(無)