2017年8月05日(1853号) ピックアップニュース
女医の会インタビュー 22
患者さんを丸ごと診る主治医めざす 東灘区 大槻 智子
東神戸病院で、内科の診療をしています。診療では、大変な生活をされている患者さんと出会います。
ある方は窓口負担を滞納し、保険証もなく資格証明書で、事情を聞くと家族に仕事がなく、ついには住んでいた部屋を追い出され、夫は野宿が続いていると言われます。でも、生活保護を受けるため、福祉事務所に行こうと言っても渋られます。それが人間としての当然の権利だと教えられておらず、行政に迷惑をかけてはいけないという考えが蔓延している。大変な問題だと思います。
病気だけを診るのでなく、もう一歩踏み込んで信頼関係を築き、「あなたを丸ごと見る主治医になる」と患者さんに言えるような医師にならなければならないと思っています。
厚労省は、めざすべき地域の介護・医療の在り方として、地域包括ケアという言葉をしきりと使います。しかし、厚労省の描く青写真は、ただお金をかけずに、住民の善意に頼るだけのものだと感じます。報酬の裏付けがあってこそ、介護にも医療にももっと若い人が集まるはずです。また、人間は年を重ねると何らかの病気になります。重症化させないためには、きちんとした投資が必要です。それを削って健康長寿を実現するというのは、現実的でないのではないでしょうか。
子どもは高校3年生から小学6年生まで3人います。診療しながらの子育ては大変ですが、夫と両親に助けられています。1人目の出産は、東京で糖尿病の専門研修を行う時期と重なったのですが、同じ病院職員だった夫が育休をとってくれました。今も両親が同居して子育てを手伝ってくれています。本当に感謝しています。
この4月から、病院の副院長を務めることとなりました。お話をいただいたときは、管理職に就いたことのない私で大丈夫かと悩みましたが、新しく院長になられた遠山治彦先生を支え、地域に必要とされる病院であり続けるため、視野を広げていかなければと気持ちを新たにしています。
保険医協会は、保険医の先生方が日常診療の視点から、患者負担増反対などの運動を熱心にされておられて、すばらしいと思っています。数年前に入院した際には、休業保障制度にもお世話になりました。保険医という観点からの運動をぜひ進めていっていただきたいと思います。
ある方は窓口負担を滞納し、保険証もなく資格証明書で、事情を聞くと家族に仕事がなく、ついには住んでいた部屋を追い出され、夫は野宿が続いていると言われます。でも、生活保護を受けるため、福祉事務所に行こうと言っても渋られます。それが人間としての当然の権利だと教えられておらず、行政に迷惑をかけてはいけないという考えが蔓延している。大変な問題だと思います。
病気だけを診るのでなく、もう一歩踏み込んで信頼関係を築き、「あなたを丸ごと見る主治医になる」と患者さんに言えるような医師にならなければならないと思っています。
厚労省は、めざすべき地域の介護・医療の在り方として、地域包括ケアという言葉をしきりと使います。しかし、厚労省の描く青写真は、ただお金をかけずに、住民の善意に頼るだけのものだと感じます。報酬の裏付けがあってこそ、介護にも医療にももっと若い人が集まるはずです。また、人間は年を重ねると何らかの病気になります。重症化させないためには、きちんとした投資が必要です。それを削って健康長寿を実現するというのは、現実的でないのではないでしょうか。
子どもは高校3年生から小学6年生まで3人います。診療しながらの子育ては大変ですが、夫と両親に助けられています。1人目の出産は、東京で糖尿病の専門研修を行う時期と重なったのですが、同じ病院職員だった夫が育休をとってくれました。今も両親が同居して子育てを手伝ってくれています。本当に感謝しています。
この4月から、病院の副院長を務めることとなりました。お話をいただいたときは、管理職に就いたことのない私で大丈夫かと悩みましたが、新しく院長になられた遠山治彦先生を支え、地域に必要とされる病院であり続けるため、視野を広げていかなければと気持ちを新たにしています。
保険医協会は、保険医の先生方が日常診療の視点から、患者負担増反対などの運動を熱心にされておられて、すばらしいと思っています。数年前に入院した際には、休業保障制度にもお世話になりました。保険医という観点からの運動をぜひ進めていっていただきたいと思います。