兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2017年10月05日(1858号) ピックアップニュース

書籍『口から見える貧困』を出版
口腔から考える健康格差

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健康格差解消のためどうすればいいのかを考える一冊。ぜひご一読を!

 口腔内で見られる健康格差とその背景にある貧困問題について知らせようと、協会は10月に書籍『口から見える貧困 健康格差の解消をめざして』を発行する。3月に実施し、大きな反響を呼んだ「学校歯科治療調査」の結果や、貧困と口腔内の健康格差の関係についての歯科医療・教育・マスコミ関係者などの見解を盛り込んだ。発刊にあたって、吉岡正雄歯科部会長の談話を掲載する。

学校歯科治療調査から考える子どもの貧困
歯科部会長 吉岡 正雄
 協会は保険でより良い歯科医療を求める取り組みとして、兵庫県の全ての小中高等学校、特別支援学校を対象に「2016年度学校歯科治療調査」を2017年3月に実施しました。調査により要治療の子どもの未受診率が65%、口腔崩壊の子どもが35%の学校にいるという衝撃的な実態を明らかにするや否や、各新聞社・テレビ局から取材が殺到しました。
 そうした反響の中で、6月4日に「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会主催で市民シンポジウム「口から見える貧困 健康格差の解消をめざして」を開催しました。冨澤洪基評議員をコーディネーターに、足立了平副理事長の基調講演、加藤擁一副理事長の学校歯科治療調査の結果報告と合わせて、教育関係者として子どもの権利条約をすすめる兵庫の会事務局長の井山和重氏、マスコミ関係者として神戸新聞社論説委員長の三上喜美男氏にそれぞれパネル報告いただき、貧困と歯科の健康格差の関係とその改善に向けて多角的な意見が交わされました。
 本書は、このシンポジウムの講演と報告の記録をもとに、調査結果について現場の養護教員、学校歯科医を交えた座談会、先行して同じ調査を実施した六府県(岩手、宮城、長野、三重、大阪、山口)の保険医協会からの寄稿、愛知協会からの提案などから構成されています。口腔内でも見られる健康格差とその背景にある貧困問題との関係を明らかにし、子ども医療費無料化など健康格差解消のための提言をまとめています。巻頭には宇佐美宏・保団連歯科代表がメッセージを寄せられています。
 本書を通じて、子どもの貧困と口腔の健康格差を切り口に、国家責任である憲法25条「生存権」に基づき社会保障としての歯科医療を充実させることの重要性を発信していくよう皆様にもご購読をお願いいたします。

発行 クリエイツかもがわ
定価1600円+消費税
 ご購入は、事務局電話078-393−1809、FAX078-393−1802、shin-ok@doc-net.or.jpまで。送料無料
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