2017年10月25日(1860号) ピックアップニュース
燭心
〝ICAN〟が今年のノーベル平和賞を受賞した。アイキャンって何者?と思われた方も多いと思う。インターナショナル・キャンペーン・トゥ・アボリッシュ・ヌクレアウェポンズの頭文字を連ねて、こう読む。アイドルグループの名みたいだが、核兵器廃絶に尽力してきた国際NGOである。私にもできる、なるほどいい名前だ▼ICAN設立には、兵庫協会も多少の縁がある。詳しくは武村副理事長の談話をお読みいただきたいが、10年前、ささやかだがICANを日本に紹介させていただいた。小さい運動が世界に広がり、今夏の核兵器禁止条約実現の立役者として評価された。今回の受賞は、私たちもノーベル賞のかけらをもらったようで、うれしい▼それにしても、わが国政府の態度は情けない。「ICANの行ってきた活動は日本政府のアプローチとは異なる」と、他人行儀な言い方だ。秋の国連総会に提出する日本の「核兵器廃絶決議案」も、核兵器禁止条約には触れないという。「核兵器は安全保障」という核抑止論がもう一方でまかり通る▼歴史を振り返ると、生物兵器、化学兵器などの廃絶も、こうした「抑止論」をはねのけて実現してきた。97年の対人地雷禁止条約は、最後まで反対した米英仏も結局は調印せざるを得なくなった。世論の力だ。500万筆を超える、核兵器禁止条約を結ぶことを求める「ヒバクシャ国際署名」が集っていると聞く。イエス、アイキャン、私にもできる。(星)