2017年11月05日(1861号) ピックアップニュース
10・29 日常診療経験交流会を開催
多職種連携を進め 診療に活かそう 204人が参加し大盛況
二つの分科会や医歯薬連携企画で多くの質問が出されるなど議論が盛り上がった
分科会では2会場に分かれ、医師・歯科医師・薬剤師・看護師・栄養士など23人(25演題)が「居宅での多職種連携」「めまい患者への対応」「口腔顎顔面外傷の臨床的検討」「薬剤師会の在宅医療への取り組み」「個別指導を経験して」「糖質制限食」など多岐にわたる報告を行った。「外用薬を塗ってもらう工夫」などポスターセッションによる発表も行われ、参加者の注目を集めた。
報告者が日常診療から得た気づきや工夫、研究について、会場では職種を超えた活発な意見交換や情報交換がなされ、参加者同士の交流が深められた。
医・歯・薬連携チームでがん治療
医歯薬連携企画で報告した(右から)古土井春吾先生、矢野琢也先生、柳秀憲先生
「外来化学療法」をテーマにした医科・歯科・薬科交流企画は、医科から柳秀憲先生(明和病院外科統括部長・副院長)、歯科から古土井春吾先生(神戸大学歯科口腔外科准教授・手術部副部長)、薬科から矢野琢也先生(愛媛県・住友別子病院薬剤部)が報告し、シンポジウムを行った。
柳先生は、がん治療において強力な化学療法が可能となった現在、化学療法の目的は単なる延命治療ではなく、根治や長期生存そのものに変化しており、治療方針の変更に時間を要さず、機動的に治療を進められる外来化学療法がますます重要となっているとした。そして、外来化学療法におけるチーム医療の重要性について解説し、抗がん剤によりがんを縮小させて切除につなげた実例を挙げて有用性を語った。
古土井先生は、抗がん剤や放射線治療の副作用によって口腔内に粘膜炎などの副作用が起こるとの問題点を示し、歯科が早期に介入し口腔機能管理を行うことで、QOLの改善や治療成績の向上につなげられるとした。とりわけ口腔内を清潔に保つことが重篤な副作用のリスクを低減するので、治療開始前の歯科医師による口腔機能管理が重要だと強調した。
矢野先生は「皮膚障害における皮膚科・形成外科医との連携」「流涙における眼科医との連携」について報告し、抗がん剤の副作用である爪囲炎について、早期に専門医に報告し適切な処置を行いQOL向上につなげることが大切だとした。また、抗がん剤が涙液に取り込まれる結果、角膜損傷などの副作用も起こるため、眼科医との連携も必要になりうると指摘した。
展示・物産展も好評
当日はほかに、救急フェスタ・CPR講習会や、会員の絵画・写真・陶芸作品などが出品された「あなたと私の展示会」、医院新聞展示、薬科部企画、東日本大震災被災地物品・物産展、県下の特産品抽選会などが並行して開催された。会場では、診療報酬引き下げに反対する会員署名への協力が呼びかけられ、新たに16筆が集まった。
またプレ企画として「福島第一原発事故と関連する健康被害へのとりくみ」「心肺蘇生法実技講習会」を8〜9月に開催し、それぞれ148人、106人が参加し、好評を得た。