兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

兵庫保険医新聞

2017年12月05日(1864号) ピックアップニュース

九条の会・兵庫県医師の会市民シンポジウム
歴史的事実から考える〝沖縄に基地はいらない!〟

1864_04.jpg

基地をめぐる沖縄の真実について語った(左から)柳澤協二氏、屋良朝博氏、仲西常雄先生

 九条の会・兵庫県医師の会は11月25日、市民シンポジウム「沖縄から考える改憲と国防」を県農業会館で開催し、会員・市民ら106人が参加した。
 仲西常雄先生(医師、社会福祉法人沖縄にじの会理事長)、屋良朝博氏(元沖縄タイムス社会部長)、柳澤協二氏(元内閣官房副長官補)の3人がパネル報告を行い、コーディネーターを元兵庫県医師会代議員会議長・元尼崎市医師会長の高原周治先生が務めた。
 高原先生は冒頭あいさつで、「安全保障や沖縄基地について事実に詳しい3人にお話いただき、改憲とたたかい、辺野古新基地建設阻止につなげる会にしたい」と語った。
基地による人権侵害にオール沖縄で闘い続ける
 仲西先生は「医師が見てきた米軍基地の人権侵害」と題し講演。米軍占領下に置かれた沖縄の状況を振り返り、米軍や米兵による暴力・抑圧が相次いでいたこと、住民から土地を強制接収し進められた、米軍基地の建設に対し、住民が島ぐるみでたたかい、一括払いではなく地料の毎年払いを勝ち取ったことを紹介した。
 また、当時の沖縄県の医師・看護師数は全国平均の3分の1、一般病院の病床数は2分の1という状況で医療提供体制そのものがなく、同時に医療保険がなく自由診療であり、現金がなければ医療が受けられなかったと説明。1970年に開設された沖縄民主診療所で、経済的理由で入院できない多くの重症患者を在宅で治療せざるを得なかったと、自身の経験を語った。
 本土復帰後も、米軍・米兵による犯罪は変わらず、基地の存在、日米安保条約と地位協定が人権侵害の根源であり、現在は米軍基地反対で県民が一致してたたかっているとした。
沖縄になぜ米軍基地があるのか
 屋良氏は「安全保障と基地がある仕組み」について講演した。沖縄戦で本土防衛の「捨て石」にされ、本土では高度経済成長を経て基地反対運動が盛り上がる中、沖縄に基地が押しつけられてきたと経過を説明。森本敏元防衛大臣の「政治的に許容できるところが沖縄しかない」「軍事的には沖縄でなくても良い」という発言を紹介し、沖縄に基地があるのは軍事ではなく政治的理由であると強調した。
 また、安全保障とは軍事だけでなく、あらゆる手段で国を守ることであり、人道支援や災害救援等で各国が共同行動を取る中、軍事面しか考えない安倍首相は、自ら安全保障環境を悪化させていると批判した。
和解の安保戦略沖縄から発信を
 柳澤氏は、「沖縄から発信する安保戦略」と題し講演。(1)安保は政府の専権事項、(2)米軍基地は抑止力のため、(3)沖縄の地理的優位性の3点にわたって解説した。
 (1)については、安全保障が政府の専権事項ならば、国民の疑問に応えて戦争を回避する義務が政府にあると強調。(2)については、軍事力による抑止と平和・安全は両立しないと批判。平和的解決を図るのが政治だと米中関係を例に解説し、和解へのアプローチが必要とした。
 (3)については、沖縄は中国本土への攻撃拠点としては有効だが、ミサイルに対しては脆弱であり、地理的優位性論は崩れていると説明。そして、戦争の被害者である沖縄から安全保障のあり方を発信することに大きな意義があると訴えた。
バックナンバー 兵庫保険医新聞PDF 購読ご希望の方