2018年2月25日(1870号) ピックアップニュース
燭心
行き過ぎたグローバリズムに反発する国家主義的な動きが各国で見られる。国家統一(あるいは集票)には、国籍だけでは物足りず、民族・人種をも持ち出して優劣を煽りがちだ。また、自分は典型的な日本人だと思っている人を右翼と言うらしい▼日本人の定義は、日本国籍を持つ人、あるいは祖先が日本列島に居住していた民族集団という以外に、外表面的な特徴や民族学、考古学、言語学等からの分類もある。万世一系をはじめとして、日本人はY染色体ハプログループ(父系)を重要視するが、ミトコンドリアハプログループ(母系)による分類では、アフリカ単一起源説がほぼ証明されている。いわば日本人も全員アフリカ系である▼最近はDNA分析で、病気(がん・心筋梗塞・脳梗塞等)と体質(長生き・肥満・肌質等)の遺伝的傾向が分かる。発症リスクやその低減のための対策アドバイスを伴った商業化も進んでいる。唾液を郵送すれば約300項目が分析され、約1カ月で結果が出る。さらにルーツ分析も1万円程度で可能だ▼YouTubeで「DNAの旅」を見た。自身の民族・人種の純粋性に自信を持っている人がDNA分析検査を受ける。事前に好きになれない国、付き合いにくい人種を挙げるが、結果から自分の中の多民族性を知って驚く姿が映される。多くの人がDNA分析を行えば、国籍、人種、民族にとらわれた過激な思想や争いは少なくなるのではないか。勇気を出してルーツ分析を行ってはどうだろうか(空)