2018年3月25日(1873号) ピックアップニュース
主張 「医師の働き方改革」
基本は医師数と診療報酬の増加
厚労省のデータ改ざんにより「働き方改革関連法」の行方は不透明になっているが、医師の働き方に関しては、5年後に罰則付き残業時間規制が適用される予定である。また、今国会には医師の偏在是正に向けて医療法・医師法改正案が提出された。
昨今の医師の過労死・自死例や職場からの「逃散」をみれば医師、特に病院勤務医の自己犠牲と過重労働に限界が来ていることは明らかである。
全国医師ユニオンの勤務医労働実態調査2017によると、医療過誤の原因として、勤務医の5割が「慢性疲労による注意力不足」と指摘し、「改善してほしいこと」のトップは「完全な休日を増やす」、「改善に有効な方法」のトップは「医師数の増員」である。
医師の働き方改革の議論において、例えば「当直明けの通常勤務を規制する」などの指針が示されると、医療崩壊に拍車がかかるかもしれない。労基署の勧告を受けた大病院では、すでに外来診療の縮小が始まっている。
こうしたなか、現場の混乱を防ぐとの名目で、後ろ向きの発言も見え隠れする。いわく、「ある程度自由に労働時間等を差配できる仕組みを」、さらには「勤務医数確保のために『公立病院等の集約化』を」などである。
すでに、「医師の働き方改革に関する検討会」では、「労働時間の制約により必要な自己研鑽が積めなくなると、...医療技術の発展に対する悪影響が生ずる」「現在の宿日直のほとんどは、現行の労働基準法に基づく宿日直に該当しないので、基準の見直しが必要」などの意見が出されている。このように厳しい労働実態を改善するのではなく、基準を現状に合わせる方向で改革が行われる可能性もある。
また、現在、医師の勤務実態を客観的に把握するため「タイムスタディ調査」が行われているが、対象者はたったの44人であり、全国の医師の実態を明らかにできるとは思えない。さらに、調査の担当は「裁量労働制」において、結論ありきの資料を用意した厚労省である。透明性の高い資料と確固たる根拠に基づき、丁寧な議論が行われるか注視したい。
即効性がないとはいえ、労働者である医師と病院経営がともに健全であるためには、「医師」と「診療報酬」の増加が基本である。
患者のために「医師自身の心身が健康で、医療の量と質を確保しながら、すべての国民に公平な医療を提供する」ことこそ、医師の働き方改革の本来の目的である。
昨今の医師の過労死・自死例や職場からの「逃散」をみれば医師、特に病院勤務医の自己犠牲と過重労働に限界が来ていることは明らかである。
全国医師ユニオンの勤務医労働実態調査2017によると、医療過誤の原因として、勤務医の5割が「慢性疲労による注意力不足」と指摘し、「改善してほしいこと」のトップは「完全な休日を増やす」、「改善に有効な方法」のトップは「医師数の増員」である。
医師の働き方改革の議論において、例えば「当直明けの通常勤務を規制する」などの指針が示されると、医療崩壊に拍車がかかるかもしれない。労基署の勧告を受けた大病院では、すでに外来診療の縮小が始まっている。
こうしたなか、現場の混乱を防ぐとの名目で、後ろ向きの発言も見え隠れする。いわく、「ある程度自由に労働時間等を差配できる仕組みを」、さらには「勤務医数確保のために『公立病院等の集約化』を」などである。
すでに、「医師の働き方改革に関する検討会」では、「労働時間の制約により必要な自己研鑽が積めなくなると、...医療技術の発展に対する悪影響が生ずる」「現在の宿日直のほとんどは、現行の労働基準法に基づく宿日直に該当しないので、基準の見直しが必要」などの意見が出されている。このように厳しい労働実態を改善するのではなく、基準を現状に合わせる方向で改革が行われる可能性もある。
また、現在、医師の勤務実態を客観的に把握するため「タイムスタディ調査」が行われているが、対象者はたったの44人であり、全国の医師の実態を明らかにできるとは思えない。さらに、調査の担当は「裁量労働制」において、結論ありきの資料を用意した厚労省である。透明性の高い資料と確固たる根拠に基づき、丁寧な議論が行われるか注視したい。
即効性がないとはいえ、労働者である医師と病院経営がともに健全であるためには、「医師」と「診療報酬」の増加が基本である。
患者のために「医師自身の心身が健康で、医療の量と質を確保しながら、すべての国民に公平な医療を提供する」ことこそ、医師の働き方改革の本来の目的である。