2018年4月05日(1874号) ピックアップニュース
燭心
4月は英語でApril、語源はラテン語のAprilisであり、ローマ神話の女神ウェヌス(Venus:ヴィーナス)に捧げられた月とされている。ウェヌスはギリシャ神話ではアフロディーテにあたり、その別名Apruが4月の由来だという少々複雑な説である▼複雑といえば、今次の診療報酬改定もかなりややこしい。歯科の初再診料はその代表であろう。従来は歯科外来診療環境体制加算(外来環)の届け出の有無による差だけであった。今次改定ではその外来環加算を残しながら、滅菌器の導入や継続的な研修など感染予防に関する施設基準(新施設基準)に合致した施設であるという届け出によって、さらに差別化が進められた▼結果、外来環と新施設基準という二つの基準によって3種類の初再診料が存在することになり、これらの届出がないと現行の点数よりも減算されてしまうというありえない設定になった。しかも、新施設基準無届の施設に対しても点数が設定されたことから感染対策の不十分な施設をも容認してしまった。本来、これらは倫理観の問題であり、基本診療料の一律の増点数で対応すべきものである▼死者すらも蘇らせる医神として名高いアスクレピオスは、アフロディーテの甥にあたる。死者が生き返るという生老病死の倫理を乱す行為を、いかに優れた医術であってもゼウスは受け入れず、 雷霆 (激しい雷の武器)で撃殺したという。この4月、愛と美と性の女神アフロディーテは歯科の未来に微笑んでくれるだろうか(九)