兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2018年4月25日(1876号) ピックアップニュース

燭心

 「ペンタゴンペーパーズ」「ザ・シークレットマン」、今年の2本の映画が印象に残っている。1970年代初頭、アメリカのニクソン政権下での出来事がテーマの作品である▼「ペンタゴンペーパーズ」とは、ベトナム戦争における調査報告を記した政府の最高機密文書のこと。71年、この文書がNYタイムズにすっぱ抜かれ、政府の嘘や隠蔽が暴露される。ニクソン大統領は、機密保護法違反として報道の差し止めを命じるが、ライバルであるワシントンポスト紙が続報を果敢に報道する▼もう1本の「ザ・シークレットマン」は、その翌年のウォーターゲート事件を扱ったものである。民主党本部に盗聴器を仕掛けようとしたグループが逮捕されるところから、事件は始まる。捜査を指揮するFBI副長官がニクソン大統領を追い詰めていくサスペンスだ。事件に「一切関係がない」としてきたニクソン氏は、72年の大統領選挙で再選を果たす。いったんは切り抜けたかに見えたが、やがて事件に関係した会話テープの存在が露見。真実が明らかになるにつれ、世論に抗しきれなくなった大統領は、議会の弾劾の動きを受け辞任する。当時世界をゆるがしたスキャンダルである▼さて、わが国のモリ・カケ事件、こちらも次々と新たな事実が現れている。都合の悪いことは隠し逃げる首相。半世紀前の海の向こうの事件がオーバーラップして見える。真実を明らかにできるのか、議会、メディア、今度は私たちの民主主義の力が問われている(星)
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