2018年6月05日(1879号) ピックアップニュース
第93回評議員会を開催
医師数・診療報酬の拡充を
医師の働き方改革など19人が発言し活発に討論
西山裕康理事長は開会あいさつで「今次診療報酬改定は全体で1.19%のマイナスで、私たちが要求したプラス10%とはほど遠く、このような医療費抑制政策では、すべての国民に安全・安心な医療を必要・十分に提供できなくなる」と政府の社会保障政策を批判。国民が必要な医療を提供するためには、診療報酬の大幅引き上げと医師の抜本的増員が必要だとした。会務報告・方針案を提案した武村義人副理事長は、「安倍政権は昨年来の森友・加計学園への便宜供与疑惑を覆い隠すために、解散総選挙を行い、自民党は議席を維持した。そして診療報酬のマイナス改定や、社会保障費の抑制をいまだに続けている。国民世論に背を向ける安倍政権の暴走を許さないためにも、社会保障費の拡充や憲法と平和を守る運動、震災被災者の生活再建を求める取り組みを進め、政治の転換に力を尽くす」と訴えた。
討論では、医師の働き方改革、マイナンバー制度の危険性、憲法改悪阻止、脱原発へ向けた取り組み、アスベストによる健康被害、地域での病床削減や、診療報酬・介護報酬同時改定、支部活動などについて、19人から発言があった。
特別講演 「憲法を生かした教育とは」
前文部科学事務次官前川氏が講演
特別講演では、前文部科学事務次官で、「森友学園」「加計学園」問題で注目を集めた前川喜平氏が、日本の教育が抱えている課題と憲法に書かれた教育の理念について語った。
前川氏は、憲法26条で、すべての国民が普通教育を子どもに受けさせる義務があるとした。しかし、実際には教育を受けられなかった国民や外国人がおり、彼らが学びなおせる場として夜間中学が各地に設置されているが、全国に31校しか存在しておらず、憲法に基づいた拡充が急がれると語った。
また、憲法23条にある学問の自由について、本来は初等・中等教育を含んでおり、学校教育においても、教育の内容は現場の自主性を尊重しなければならないとした。教育基本法16条にも、「教育は(政治家や官僚による)不当な支配に服することなく行われなければならない」とあるが、自身の愛知県の中学校での講演をめぐる問題を見るに、現在の政府には憲法を尊重する様子が見られないと批判した。
道徳については、児童一人ひとりが道徳心について考え、育てていくことが大切であるのに、教科化により国が求める「正解」を押し付けることになってはならないと、授業の事例を示して説明した。文科省では学習指導要領で児童が自発的に学習するよう促す「アクティブラーニング」を目指しており、子どもたちが主役となる教育の実現が求められると訴えた。