2018年7月05日(1882号) ピックアップニュース
子どもの口腔崩壊予防へ
日衛副会長と懇談
この懇談は、日衛1万7千人会員に発行されている『歯科衛生だより』6月号の記事「子どもの貧困と口腔崩壊」に、兵庫協会が実施した「2016年学校歯科治療調査」の結果データが紹介されたことを契機に行われたもの。
協会からは、兵庫協会をはじめとする全国21協会が実施した学校歯科治療調査の結果とそれに基づく分析と提案を紹介した。小中学校での学校歯科健診では、要受診者のうち未受診者の割合は40〜50%台、虫歯が10本以上あるなどの口腔崩壊の児童がいる小学校の割合は30〜40%台、小中高校で口腔崩壊者の占める割合は約0.3%であり、「治療に行かない・行けない」原因の背景には親の理解・関心不足に加え、経済的貧困や仕事が忙しいなどの理由で子どもを歯科に連れて行くための時間がないなどの複合的な要因があると解説した。
また、虫歯の放置・口腔崩壊をなくすためには、親の「自己責任」にせず、行政が、貧困と子どもの歯科受診の実態についての調査と対策を責任持って行い、健診だけに終わらせない取り組みが重要だとした。それに加えて、高校生までの医療費無料化、貧困・格差解消に向けた社会保障の拡充が不可欠であるとした。
上田氏は「子どもの中に口腔崩壊や未治療が高い割合でいることの詳細は今まで明らかにされていなかったので、貴重なデータをいただいた。日衛としても、地域歯科保健の分野などで取り組んでいくよう働きかけたい」とした。
懇談に先立ち、西山裕康理事長が上田氏に、協会が編集した『口から見える貧困 健康格差の解消をめざして』を献本した。