兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2018年11月05日(1893号) ピックアップニュース

第27回日常診療経験交流会を開催
医療分野のAI活用 多職種で議論 181人が参加し活発に意見交換

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分科会ではさまざまな分野から26演題が発表され、質疑応答が活発になされた

 日常診療での経験を持ちよって交流しよう−−。協会は10月28日、日常診療経験交流会を神戸市産業振興センターで開催。第27回となる今年は「あなたのAIのイメージは?〜医療での マル × バツ 〜」をメインテーマに、医師、歯科医師、薬剤師、スタッフら181人が参加した。参加者は分科会や医科・歯科・薬科交流企画等を通じ、毎日の診療における経験を発表し、質疑応答などで交流を深めた。

 分科会は2会場に分かれ、医師・歯科医師・薬剤師・看護師ら23人(26演題)が「高血圧症患者の健康管理」「検査キットの解釈」「口唇口蓋裂の治療と家族への対応」「薬薬連携の取り組み」「歯科技工士の労働実態」など多岐にわたる報告を行った。「耳鼻咽喉科領域の異物」など、ポスターセッションによる発表も行われた。
 報告者が日常診療から得た気づきや工夫、研究について、会場では職種を超えた活発な意見交換がなされ、参加者同士の交流が深められた。
AIの医療への導入について議論
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医・歯・薬交流企画で報告した(右から)八木秀満先生、坂口智計先生、雨松真希人氏、廣田憲威先生

 医科・歯科・薬科交流企画は、医療へのAIやICTの導入について、医科から八木秀満先生(協会審査対策部長)、歯科から坂口智計先生(須磨区・とも歯科医院)と雨松真希人歯科技工士(K.D.A Laboratory)、薬科から廣田憲威薬剤師(一般社団法人大阪ファルマプラン理事長)が報告し、シンポジウムを行った。
 八木先生は「支払基金改革と韓国の審査システム」と題し、保団連が今年5月に行ったコンピュータ審査先進国とされる韓国への視察会について報告。韓国ではAIも含めて厳格なコンピュータチェックが行われるが、最終的な査定の大半は人により行われており、コンピュータ審査の割合は日本の方が高いと紹介。日本の支払基金改革は人員削減、社会保障費削減を目的とした、医師の裁量権を軽視するものだと指摘した。
 坂口先生は「CAD/CAM活用の現在」と題し講演。健康・医療・介護の領域でもICT関連技術の発展は目覚ましく、今後はAI技術の活用が進むと紹介。CAD/CAMもその一環であり、これまで歯科技工士に任せていた作業が、一般の歯科医師もできるようになったが、精度が未熟であり、患者に合った技工物を提供するという歯科医師・歯科技工士の役割は変わらないのではないかとした。
 雨松技工士は、従来の歯科技工物作成時の苦労、歯科技工士の過酷な労働実態を紹介し、CAD/CAMを使った技工物と従来の歯科技工物の作成工程を比較した。
 廣田先生は「健康サポート薬局における調剤業務の機械化とヘルスプロモーションの取り組み」と題し講演。全自動散剤分包機などによる機械化、電子お薬手帳、オンライン服薬指導の導入などにより省力化され、調剤ミスや待ち時間が減るとともに、患者一人ひとりにかけられる時間が増え、より患者第一の医療が実現できたとした。
 会場からは、AIの導入によって医療従事者の負担が減るどころか増えるのではないかなど、活発な意見交換が行われた。
展示・被災地物産展も好評
 当日はほかに、救急フェスタ・CPR講習会や、会員の絵画・写真などが出品された「あなたと私の展示会」、医院新聞展示、薬科部企画、東日本大震災被災地物品・物産展、県下の特産品抽選会などが並行して開催された。
 会場では、診療報酬引き下げに反対する会員署名への協力が呼びかけられ、32筆が集まった。
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