兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2018年11月15日(1894号) ピックアップニュース

2018年度会員意見実態調査
(4)診療報酬改定(歯科) 過半数が改定に不満

 2018年度会員意見実態調査の結果について、今号は歯科の診療報酬改定について詳報する。

 「今回の診療報酬改定に対する先生の評価」については、「不満」38.9%、「おおいに不満」13.5%と、あわせて過半数の会員が不満を表明している。「満足でも不満でもない」が43.7%あり、「満足」「おおいに満足」はともに0%だった(図1)。
 「改定前と比べた請求額」については「ややマイナス」24.6%、「かなりマイナス」は3.2%とマイナスが27.8%あった。「変わらない」は54.8%、「ややプラス」が11.9%、「かなりプラス」は0%だった(図2)。
施設基準
ペナルティーと煩雑化に不満
 新設された「初・再診料への院内感染防止対策の施設基準導入」については、「届出た」と回答した会員は39.7%、「9月末までに届出る予定」は55.6%、「届出ない」は0.8%、「未定」1.6%だった。「今回の施設基準導入について」は、「廃止すべき」32.5%、「減算措置は撤廃すべき」16.7%あわせて半数が改廃を求めている。「現状でよい」は39.7%、「厳しくすべき」は5.7%だった。
 「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(「か強診」)」(複数回答可)については、「施設基準の要件を緩和すべき」47.6%、「廃止すべき」25.4%、「エナメル質初期う蝕管理加算、SPTⅡ等はか強診届出なしでも算定可にすべき」23.8%に対し、「現状のままでよい」はわずか10.3%であった。
 「今回の改定で影響が大きいと思われる項目」(複数回答可)については、上位から「施設基準の届出の煩雑化」57.1%、「初・再診料への院内感染防止対策の施設基準導入」49.2%、「床副子の口腔内装置への変更、装置と算定点数の区分変更」31%、「『か強診』の施設基準の変更」29.4%、「レジン前装金属ポンティックの適応症の拡大」26.2%、「新製から6カ月以内の有床義歯の再作成の要件拡大」23.0%、「歯科外来診療環境体制加算の引き下げ」20.6%などだった(図3)。
 今次改定では「院内感染防止対策に係る施設基準」が基本診療料に持ち込まれ、届出しなければ減算という前代未聞のペナルティーが導入された。また、「か強診」の施設基準の要件が厳しくなった。こうした施設基準の厳格化・煩雑化に会員の不満が高まっていることが明らかになった。
歯科訪問診療料
7割が「時間要件撤廃」求める
 「歯科訪問診療」については、「実施しており続ける予定」40.5%、「実施していないが要請があれば検討」26.2%、「実施していないし今後も行わない」29.4%、「実施しているがやめる予定」2.4%だった。
 「歯科訪問診療の診療報酬で改善してほしい項目」(複数回答可)は、上位から「歯科訪問診療の時間要件の撤廃」72.2%、「訪問歯科衛生指導料の時間要件と『単一建物』区分の廃止」46.3%、「同一建物における複数患者の歯科訪問診療料2,3の引き上げ」44.4%、「『歯科訪問診療料の注13に規定する基準の施設基準』届出の撤廃」38.9%、「歯援診や在推診など施設基準要件の実態に即した見直し」35.2%だった。
 治療内容に関係なく時間要件や「単一建物」「同一建物」により診療報酬に差が生じる不合理に対して是正を求める要求が多数となった。
 「周術期における口腔機能管理など医科歯科連携」については、「積極的に連携して取り組んでいる」3.5%、「今後連携して取り組みたい」23.8%、「取り組みたいが方法がわからない」32.5%、「取り組むつもりはない」18.3%だった。
診療報酬改善要求
基本診療料と基礎的技術料引き上げ切実
 「今後、歯科診療報酬のどういう点を改善してほしいですか」(複数回答可)については、上位から「初診料・再診料の点数引き上げ」71.4%、「基礎的技術料の引き上げ(歯周治療、根管治療、有床義歯など)」61.9%、「有床義歯における調整料の評価復活」48.4%、「金パラ材料価格設定の見直し」48.4%、「包括された技術料の復活(ラバーダム、歯肉息肉除去、補強線、スタディモデル等)」41.3%、「『か強診』の施設基準要件の大幅緩和」30.2%、「クラウン・ブリッジ維持管理料など成功報酬の廃止」29.4%、「初・再診料への院内感染防止対策の施設基準導入の撤廃」25.4%となった(図4)。
 今回の診療報酬改定は多くの医療機関にとって満足できるものではなく、初・再診料、基礎的技術料の引き上げ、煩雑な施設基準の撤廃・緩和などが切実に望まれている。そのためには、長らく続く低医療費政策を転換し、歯科医療費の総枠拡大を求めていくことが必要である。

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