2018年11月25日(1895号) ピックアップニュース
燭心
政府は来年10月の消費税増税を表明した。2%引き上げにより家計負担は5.6兆円程度増えるが、「低所得者対策」「景気対策」としての軽減税率、ポイント還元策や商品券、自動車・住宅ローン減税などを差し引けば、負担は1兆円程度に軽減されるとの試算もある。公共事業による景気対策の声も聞こえ、財政再建も社会保障充実も風前の灯だ▼低所得者への景気対策を叫ぶのは、6年間のアベノミクスによるトリクルダウンが存在しなかったことを自白したようなものだ。首相が自賛する好景気が広く懐をあたためていれば、2%の増税などへっちゃらなはずだ▼低迷する新聞社には、食料品と同じ軽減税率2%適用は死活問題である。系列TV局も、軽減税率の適用例をネタに騒ぐだけ。増税の本質から目をそらせたい政権のお手伝いである。軽減税率導入は業界からの陳情、族議員 跋扈 、官僚天下りの温床ともなる▼ポイント還元策によりIT企業、カード会社はウハウハだが、キャッシュレス決済のできない零細商店、カードを持たない低所得者、高齢者、子どもなどの弱者は切り捨てられる▼商品券ばらまきもごまかしだ。2%増税は、年収2〜300万の世帯では年間4万円程度の恒久増税だが、一回限りのわずか5000円の「プレミアム」付き商品券で我慢を強いる。一方で、金融所得への課税の増税は見送る方針を固めた。これでは貧困と格差は拡大し、遺伝する▼最大の景気対策、低所得者対策は増税しないことである。(空)