2018年12月15日(1897号) ピックアップニュース
燭心
ゴーン氏逮捕で揺れる自動車業界だが、11月30日、ルノー、日産、三菱の3社のtopによる合議制で暫定的に経営するという報道があった。世の中には頭が三つある動物はいない。組織は決定が遅れ、開発競争に支障が出て、無責任になる。ましてや自動車業界は自動運転や電気自動車の技術開発で自動車という概念さえも変わる大変革の時代を迎えている。自動車産業の裾野は広く、先進国の雇用は損保会社等を含め巨大である。基幹産業である自動車産業の趨勢は国民の失業率に大きく関与する▼「和をもって尊しと為す」という聖徳太子の十七条憲法や鎌倉、室町時代の世襲による評定衆すなわち合議制を引用し、安倍総理側近で弁護士の稲田朋美議員は民主主義の基本は日本の伝統と言っているが甚だしい誤解である。太子の憲法とは朝廷に仕える官吏の訓戒である。派閥争いをするなと言っているだけで、近代成文憲法と内容次元が全く異なる▼折しも安倍総理の公約の改憲案の提出が断念された。強引に衆院憲法審査会を運営したら来年の通常国会に影響すると判断した。これまた安倍総理の腹心、下村博文氏の舌禍による野党の猛反発を受けたため。いずれにしても総理の周りには類は友を呼ぶがごとく、お友達内閣は低レベルの人材ばかりである▼現行憲法は基本的人権の保障と民主的政治機構を特徴とし、国家の暴走を防ぐため、国民からの国家権力への命令である。このことが理解できない右寄り思想の国会議員の多きを嘆く(鼻)